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日本郵政が約850億円の特別損失を計上へ 楽天グループの株式で「評価損」を認識
日本郵政が、業務資本提携を締結している楽天グループの株式の減損処理をすることになった。楽天グループの株価は、モバイル事業の苦戦もあって低迷が続いている。今後もこの状況が続く場合は、さらなる減損処理や業績面での影響が生じる可能性もある。
日本郵政は6月30日、2023年度第1四半期(2023年4〜6月)に850億5800万円の特別損失を計上することを発表した。同社が保有する楽天グループの株式の価格が著しく下落したことを受けた措置だが、2023年度通期の業績予想は現時点では据え置くという。
特別損失の概要
日本郵政と楽天(現在の楽天グループ)は2021年3月に資本業務提携を締結した。この際に、日本郵政は楽天が行う第三者割当増資に応じ、1億3100万4000株を1499億円で購入している。
しかし、モバイル事業(≒楽天モバイル)の赤字が続いている影響で、楽天グループの株価は株式取得時と比べて大きく減少している。購入時は1株当たり1145円ほどだった株式は、6月30日の終値で499円と半額未満となっている。
会計ルール上、四半期末の株価が取得時の半額以下となり、かつ回復が見込めない場合は、特別損失の一種である「有価証券評価損」を計上する必要がある。日本郵政はルールに従い、楽天グループの株式の減損処理を行ったことになる。
今回は「洗替法」で減損処理を行ったため、第2四半期(2024年7〜9月)の期首に損失の“戻し入れ”が行われる。楽天グループの株価が回復した場合、有価証券評価損が減少する可能性もあるため、日本郵政では現時点における2023年度通期業績予想は据え置いている。
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