モトローラ「razr 40 Ultra」「edge 40」が示す戦略の変化 “日本仕様”が世界の成功へ:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
モトローラの最新スマートフォン「motorola razr 40 Ultra」と「motorola edge 40」が7月21日に発売される。これら2機種は、モトローラのラインアップ戦略をテコ入れするためのモデル。razr 40 Ultraはプレミアムモデルとして投入、edge 40は日本市場でのニーズも取り入れた。
モトローラ・モビリティ・ジャパンは、フォルダブルスマートフォンの「motorola razr 40 ultra」と、ミッドレンジ上位の「motorola edge 40」を日本市場に導入する。発売は7月21日の予定。モトローラの直販価格は、razr 40 ultraが15万5800円(税込み、以下同)、edge 40が6万4800円になる。2機種はいわゆるオープンマーケットモデル(SIMフリーモデル)。MVNOではIIJmioが独占的に2機種を取り扱う。
松原丈太氏を社長に迎え、日本での展開を加速させてきたモトローラだが、2022年にはオープンマーケット端末として初となるおサイフケータイ対応の「moto g52j 5G」を導入。約1カ月前の6月には、おサイフケータイや5Gをエントリーモデルに拡大した「moto g53j 5G」を発表。同モデルの兄弟機は「moto g53y 5G」として、Y!mobileに導入された。
一方で、プレミアムモデルであるrazrシリーズは、2021年に投入され、ソフトバンクにも採用された「razr 5G」を最後に、日本での販売が途絶えていた。フラグシップモデルに迫る性能を持つシリーズとして導入されたedgeシリーズも、その価格ゆえに、広がりは限定的だった。2機種は、そんなモトローラのラインアップ戦略をテコ入れするためのモデルといえる。その戦略を見ていこう。
大型アウトディスプレイが特徴のrazr 40 ultra、ミッドハイのedge 40には日本仕様も
razr 5G ultraは、いわゆるフリップ型のフォルダブルスマートフォン。一般的なスマートフォンと同じ縦長の形状だが、中央で折り曲げることができ、コンパクトなサイズで持ち運べる。折りたたみはフィーチャーフォンでおなじみのスタイルだが、それをスマートフォンで再現したモデルといえる。razrという名称も、モトローラの有名なフィーチャーフォンに由来する。
実際、スマートフォンの初代razr(日本では未発売)やrazr 5Gはフィーチャーフォン時代のrazrでおなじみだった“アゴ”のようなデザインも踏襲。閉じるとコンパクト、開くと縦に長いディスプレイを使えることを売りにしていた。ただ、開閉の途中で折り曲げたまま90度前後の角度で固定することができず、閉じたときと、開いたとき、どちらか一方の状態でしか使えなかった。
これに対し、フリップ型では後発だったサムスンは、Galaxy Z Flipで無段階に折り曲げられるヒンジを採用。半開きのままテーブルなどに置いて撮影したり、動画を見たりするフォルダブルスマートフォンならではのスタイルを提案していた。フリップ型で先陣を切ったモトローラだが、こうした点では後塵(じん)を拝していた格好だ。
これを解決し、半開きで固定できるようになったのがたのが、2022年に海外で発売された「razr 2022」。razr 40 ultraは、その後継機にあたる端末だ。最大の特徴といえるのが、閉じたときに使用するアウトディスプレイ。フォルダブルスマートフォンには、一般的にサブディスプレイが搭載されているが、razr 40 ultraのそれはとにかくサイズが大きく、カメラ部分に食い込むほどだ。このアウトディスプレイを生かし、閉じたまま通知やアプリを操作することができる。
モトローラのプレミアムモデルに位置付けられているだけに、スペックも高く、プロセッサには「Snapdragon 8+ Gen 1」を採用。ディスプレイのリフレッシュレートも165Hzと高く、カメラシステムもDual Pixel PDAF(位相差AF)に対応した1200万画素の広角と、1300万画素のマクロ撮影対応の超広角のデュアルカメラになっている。
一方のedge 40は、ミッドハイと呼ばれる価格帯のスマートフォン。モトローラはこれまで、edgeシリーズをよりハイエンドに近い位置付けで投入してきたが、松原氏によると、その戦略を変え、より手ごろな価格を重視することで、ハイエンドモデルのrazrと差別化を図っているという。
実際、edge 40はプロセッサにMediaTekの「Dimensity 8020」を採用。全画素で位相差の検出が可能なOmni-directional PDAF対応の5000万画素カメラや、144Hzのリフレッシュレートに対応するなど、一般的なミッドレンジモデルよりもスペックは高いが、価格は6万4800円と抑えめだ。特筆すべきは、edgeシリーズとして初めておサイフケータイを搭載したこと。同機は、IP68の防水・防塵にも対応している。
グローバルで展開されているedge 40だが、実は日本市場の要望や好みを反映させ、開発が進められてきたという。おサイフケータイ以外では、デザインや片手で握りやすい横幅などの意見が反映されている。名称に日本を意味する「j」はつかないものの、先に発売したmoto g52j 5G、53j/y 5Gなどと同様、日本市場に向けた1台として開発が進められてきた格好だ。
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