モトローラ「razr 40 Ultra」「edge 40」が示す戦略の変化 “日本仕様”が世界の成功へ:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
モトローラの最新スマートフォン「motorola razr 40 Ultra」と「motorola edge 40」が7月21日に発売される。これら2機種は、モトローラのラインアップ戦略をテコ入れするためのモデル。razr 40 Ultraはプレミアムモデルとして投入、edge 40は日本市場でのニーズも取り入れた。
日本のニーズをくみ取ったモデルが成功、好循環でラインアップを拡充
razr 40 ultraやedge 40の投入は、モトローラやモトローラ・モビリティ・ジャパンの戦略に変化が生じてきていることを示唆する。まず、モトローラ本体に関しては、日本市場のトレンドをより反映するようになった。先に挙げたように、edge 40は「日本のさまざまなフィードバックを何年にも渡って言い続け、それが最大限取り込まれた」(松原氏)スマートフォンだ。
「日本のプリファレンス(嗜好)を取り入れているが、グローバルで出すモデル」(同)として開発され、先行して発売している国や地域では「かなりのヒットを飛ばしている」(同)。松原氏は「日本人の感性に訴えるモデルでも、グローバルで通用する」と語っていたが、このような成功事例を積み重ねていけば、日本でのラインアップがさらに充実する可能性は高い。
2022年に投入されたmoto g52j 5Gの成功を受け、モトローラ内部でも、日本仕様を開発段階から取り入れる機運が高まっているという。松原氏は先に行ったインタビューで、6月に発売されたmoto g53j/y 5Gは、「PCB(プリント基板)のハードウェアデザインを終える前に、日本からのリクワイアメント(要求)がないかを聞いてもらえるようになった」と語っている。moto g53j/y 5Gは、FeliCaや防水・防塵対応を前提に開発が進められたというわけだ。
同様におサイフケータイや防水・防塵に対応したedge 40は、サイズ感や素材といったところにも、日本からの意見が反映されている。グローバル共通仕様のため、特定の市場に特化したカスタマイズではないが、moto g53j/y 5G以上に日本仕様の端末といえる。こうした開発が可能になった点でも、2022年に投入したmoto 52j 5Gのインパクトは大きかった。
moto g52j 5Gやmoto g53j/y 5Gといった、ボリュームの大きなシリーズが生まれたことで、ラインアップも組み立てやすくなったという。松原氏は「(それ以前は)ビジネスボリュームが小さかったこともあり、なかなか自由が利かなかった。オープンマーケットでやっていく中で徐々に認めていただき、moto g52j 5Gを出した。ソフトバンクにも認められて(moto g53y 5Gを投入でき)、少しずつ自由度が上がっている」と語る。
結果として、「皆さんが『おっ』と思うような端末を出せる土壌が整いつつある」という。razr 40 ultraのようなフラグシップモデルに加え、edge 40に「日本のユーザーの声が反映された」のはそのためだ。販売のボリュームが増え、フィードバックが反映されやすくなり、さらにそれが売れ行きにつながる。razr 40 ultraやedge 40の投入は、そんな正のスパイラルが起こりつつあることの象徴といえる。
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