モトローラ「razr 40 Ultra」「edge 40」が示す戦略の変化 “日本仕様”が世界の成功へ:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
モトローラの最新スマートフォン「motorola razr 40 Ultra」と「motorola edge 40」が7月21日に発売される。これら2機種は、モトローラのラインアップ戦略をテコ入れするためのモデル。razr 40 Ultraはプレミアムモデルとして投入、edge 40は日本市場でのニーズも取り入れた。
IIJmioとタッグを組んで拡販、課題はあるがシェア拡大のチャンスも
残念ながらrazr 40 ultra、edge 40はキャリアでの販売はない一方で、通信事業者では、IIJmioが独占的に2モデルを取り扱う。IIJの執行役員 MVNO事業部長の矢吹重雄氏は、「一緒に折りたたみスマートフォンのマーケットを開拓するという強い意志を持ち、今回の販売を行う」と語る。その表れとして、モトローラ直販よりも2モデルを安価に設定した。
IIJmioでの価格は、razr 40 ultraが13万9800円、edge 40が5万7800円だが、前者は10月いっぱいまで、「サプライサービスセール」として11万9980円に値下げを行っている。また、MNPでIIJmioを契約するのと同時に端末を購入すると、razr 40 ultraは10万9800円、edge 40は3万9800円まで価格が下がる。
発売直後のフォルダブルスマートフォンが約11万で手に入るのは“激安”と言っても過言ではない。矢吹氏も「折りたたみスマートフォンとしてアグレッシブな価格設定」だと自信をのぞかせる。また、edge 40がミドルレンジモデルの売れ筋と同価格帯の4万円になるのも、コストパフォーマンスが高い。モトローラの勢いに乗り、IIJmioも拡販に力を入れていることがうかがえる。
順風満帆に見えるモトローラだが、クリアしなければならない課題も残されている。1つは、オープンマーケットの販路拡大だ。razr 40 ultraやedge 40はIIJmioが独占販売し、そのぶん調達量を増やす可能性がある一方で、7月1日には、OCNモバイル ONEが新規受付を終了し、端末のセット販売も終了している。ドコモが導入したirumoは、料金的にOCNモバイル ONEの後継だが、オープンマーケットの端末は取り扱っていない。約200万契約と規模の大きいMVNOを失ったのは、メーカーにとって痛手だ。
その影響を問われた松原氏も、「インパクトがなかったかというと、あった」と認めている。ドコモでの取り扱いは模索していくというものの、同社からの要求仕様など、満たすべき要件が多く、「すぐにはいかないので、技術的なディスカッションを交えながら」になる。
また、razr 40 ultraに関しては、仕様がグローバルモデルに近く、edge 40とは異なり、おサイフケータイには非対応だ。モトローラの方針として、「極力、FeliCa搭載は全機種にやっていきたいと考えいた」(同)というが、razr 40 ultraは「技術的にチャレンジングな製品のため、見送った」(同)。フォルダブルであるがゆえに、日本仕様を取り込むための設計がしづらかったのではないかとみられる。「スタディーを踏まえ、今後はそういうことがないようにと考えている」(同)といい、この点も今後の課題になる。
とはいえ、FCNTの経営破綻や京セラのコンシューマー事業撤退など、日本市場で端末を販売するメーカーは徐々に減りつつある。松原氏は、「いろいろな名作を出してきた尊敬できるメーカーで、個人的には残念なことだと思っている」と語るが、モトローラにとっては規模を拡大するチャンスにもなりうる。オープンマーケットでの2022年度通期シェアは7%(MM総研調べ)で第5位にとどまる同社だが、その勢いは加速しているといえそうだ。
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