消滅した“Twitterの鳥”に隠された意味は? ロゴはどのように作られたのか
TwitterのロゴがXに変わり、トレードマークだった“鳥”はその姿を消した。どのようにしてロゴが制作されたのだろうか。ロゴの制作に携わったマーティン・グラッサー氏が明かした。
TwitterのロゴがXになった。トレードマークだった“鳥”はその姿を消した。
Twitterは元CEOのジャック・ドーシー氏が発案。リアルタイム性のある短文投稿サービスとしてローンチされたTwitterの名は、誰かがツイートすると、ポケットの中にある携帯電話が「鳴る」「震える」「画面が光る」など、あらゆる案が出された。
ツイートは鳥のさえずり、「tweet(さえずる)」から来ており、ツイートしたときの音も正に鳥のさえずりとなっている。
では、Xになる前に使われていた、Twitterを象徴する鳥のアイコンは、どのようにして生まれたのか。ロゴの制作に携わったマーティン・グラッサー氏は「当初、AppleやNikeのロゴのようにシンプルで、分かりやすい新たなロゴが求められていた」とデザインの要件を振り返る。
案の中には、宙を舞う「ガチョウ」のようなものもあったが、ドーシー氏は“もっとシンプルなもの”を希望したという。
それを受けて描かれたのが鳥のイラストだった。流れるように丸みを帯びた鳥の形状や、先のとがったくちばしなどがスケッチされていった。動きの素早い鳥の描写は難しく、その一瞬を描くのは容易ではない。
そこでグラッサー氏が着目したのが、鳥を側面から見た時に分かる腹部の丸みだった。「丸いお腹に着目するきっかけを与えてくれたイラストが見つかった」とグラッサー氏は語る。さらに、「それ以来、私たちは鳥の細部にまでこだわり、完璧に仕上げるべく時間を費やした」と苦労を明かす。
鳥の腹部の丸みは、3つの円を重ねると、円の外にはみ出たり、円の丸みと異なる形になったりはせず、きれいな物に仕上げられていった。
その形状を保ちつつ、鳥の飛び立ちを表すような羽の切れ目、さらに斜め上を向くくちばしも担保されている。完成したデザインが採用されたのは今から約11年前の2012年。Twitter Japanが当時掲載したブログでは、次のように紹介されている。
高い空の上から広大な景色を見渡すにしても、他の鳥たちと同じ目的に向かって進むにしても、空高く飛び立っていく青い鳥は自由と希望と無限の可能性を持っています。
まるで鳥かごに閉じ込められていない鳥が、飛び立とうとしているかのような様子が一目で分かるアイコンが、これまで認知されてきた鳥だったのだ。コミュニティーの場であるTwitterが大事にしてきた「発言の自由」「発信によるあらゆる可能性」などは、この鳥で表現されていた。
その鳥が“X”に様変わりし、将来のTwitterの在り方が今後模索されていく、というのがTwitter改めXの現在地となる。
Twitterを運営するX社のリンダ・ヤッカリーノCEOは、「Xをオーディオ、動画、メッセージ、金融を中心としたアプリへ成長させる」との考えを明らかにしているが、Xのブランディングが定着していくのかが気になるところだ。
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