ソフトバンク宮川社長、4万円までの端末割引は「iPhoneに限っていえば妥当な水準」
ソフトバンクが4日開催した決算説明会では、宮川社長がスマホ価格の高騰について「僕自身も『こんなに高いの買う人いるのかな』と思う」と率直な感想を述べる一幕があった。
ソフトバンクは4日、2023年度第1四半期(4〜6月)の決算説明会を開催した。スマホ販売の高騰について、宮川社長が「僕自身も『こんなに高いの買う人いるのかな』と思う」と率直な感想を述べる一幕もあった。
スマートフォンの販売価格はここ数年、上昇傾向に傾向にある。特に高性能な機種ほど値上げの影響が大きく、各社のフラグシップモデルでは20万円を超える価格の製品も見られる。
こうした値上げの背景には、円安や半導体不足などの市況の影響もあるが、総務省が2019年に施行した、回線セット値引きの上限規制が影響も大きい。この規制は通信回線とセットで提供する割引の上限を一律で税込み2.2万円までと定めており、高価格帯のスマートフォンほど規制の影響を大きく受ける構図となっている。
この状況に対して記者から見解を問われた宮川氏は「僕自身も『こんなに高いの買う人いるのかな』と思うぐらいにですね、本当に高くなったと思います」とメントした。
値引き規制の前は、携帯キャリアは通信契約を獲得するために、スマホの価格に大幅な割引を付けて販売していた。この商習慣により、スマホを安く契約して転売を行う「転売ヤー(テンバイヤー)」が増加したことが、総務省の規制に至った経緯としてある。
一方で、世界の携帯キャリアが5Gへ移行を競う中で、値引き規制は日本のキャリアの5G展開の足かせとなりかねないという指摘がある。
宮川氏は転売抑止という観点で規制に理解を示しつつも、5Gへの移行が進まないことに強い懸念を示した。“個人的な意見”と前置きした上で「4Gから5Gへ移り変わりが本当にチンタラチンタラと、こうも遅いような状況は、何とかしたい」と発言。さらに「(値引き規制以前の)昔に戻してもらえたら、もっとうれしいなと思っています」と述べた。
なお、このセット割引の規制については、昨今の物価上昇を受けて緩和に向けた議論が総務省の有識者会議で進められている。新たな上限額の候補として「税込み4.4万円」という具体的な金額も示されている。
この新たな上限額の設定について、ある記者が「一律の上限設定は柔軟性に欠けるのではないか」と指摘した。宮川社長はこの意見に賛同した上で、「日本市場で非常に強いiPhoneに限っていえば、4万円は妥当な水準じゃないかと考えています」とコメントしている。
MNP獲得が好調、料金値下げ影響は収束へ
ソフトバンクの2023年第1四半期は売上高1兆4297円、営業利益2463億円と増収増益の決算となった。携帯電話事業が含まれるコンシューマーセグメントは、売上高が6687億円(前年同期比0.2%増)と小幅に増収し、営業利益は1480億円(同マイナス4%)と増収減益となった。
スマートフォンの累計契約数は2958万回線となり、前期比で6%増加した。競合3キャリアに対してMNP転入が上回る状況となっている。
加入者1人あたりの収益を示すARPUは3720円。2020年の携帯料金値下げ以降、減少が続いていたが、減少幅が縮小し、反転が見える状況となっている。
端末出荷数は177万2000台で、前年同期比でマイナス4.4%の減少となった。ソフトバンクの藤原和彦CFOは「法人需要の一時的な減退によるもので、コンシューマー向けは新規契約が増えた一方で、機種変更が減った上でバランスしている状況だ」と説明した。
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