iPhoneを安価に購入できる「リファービッシュ製品」という選択肢 中古とは何が違うのか? Back Marketに聞く(1/2 ページ)
リファービッシュ製品とは、中古として回収されたデバイスを、専門の業者が検査、クリーニングなどの整備をした上で再販売されるもの。フランスで事業を開始したBack Marketはリファービッシュ製品を世界17カ国で取り扱っており、2021年に日本進出した。日本でもリファービッシュ市場が着々と成長しているという。
スマートフォンやタブレット、PCのリファービッシュ品を扱っている「Back Market」という企業をご存じだろうか?
リファービッシュ品とは日本語で「整備済製品」のこと。中古として回収されたデバイスを、専門の業者が検査、クリーニングなどの整備をした上で再販売されるもの。日本だと、Appleの整備済製品や大手キャリアの認定中古品が販売されているが、それらに近い。ただしBack Marketでは特定のメーカーやキャリアの製品を扱っているわけではなく、製品の調達方法も異なる。
2014年にフランスで事業を開始したBack Marketはリファービッシュ製品を世界17カ国で取り扱っており、2021年に日本進出した。同社はどんな戦略でリファービッシュ製品を展開していくのか。また、製品の品質をどのように担保し、どのように認知拡大に努めていくのか。同社CEO&共同創業者のティボー・ユグ・ドゥ・ラローズ氏に話を聞いた。
厳格な審査を通過した事業者のみがBack Marketで販売できる
Back Marketが事業を始めたのは、消費者にリファービッシュ製品を第一の選択肢にしてもらうためだという。加えて、スマートフォンやタブレットなどの電子デバイスを大量生産したことでCO2排出量が増大し、環境に影響を与えている。同社は、廃棄物をなくし、資源を循環させる「サーキュラーエコノミー」にも挑戦する。
では、Back Marketはどのようにリファービッシュ製品を販売しているのか。Back MarketのWebサイトを見ると、iPhoneやiPad、Androidスマートフォンなどのリファービッシュ製品が多数販売されているが、これらはBack Marketが直接仕入れたものではない。複数の販売業者が扱うデバイスを、Back Marketというプラットフォーム上で販売しているのだ。
もちろん、誰もがBack Market上で販売できるわけではない。同社が定める厳格な審査プロセスを通過した業者だけが登録でき、申請をした業者の3社に1社しか登録できないほどハードルが高いという。
販売業者が扱う製品に対しては、「品質検証」で17項目、28ポイントを満たしているか確認し、ここをクリアした業者のみがBack Marketで販売できる。17項目では、例えばアカウントロックが解除されているか、電波法で定める技術基準に適合しているか、バッテリーが指定の容量(%)を満たしているか、などが該当する。チェックポイントでは、ボタン、カメラ、各種センサー、端子、スピーカー、Wi-Fi、Bluetoothなどなどハード面で問題がないかを主に確認する。
販売業者が登録されて販売を開始した後も、その業者が信頼できるかどうかも調べる。例えば出荷した商品に不備がないかどうかを示す不良品率、注文確定から1営業日以内に出荷できなかった率を示す配送遅延率などだ。さらに、Back Market自身が名義を隠した上で販売業者から購入し、外観、品質、配送などに問題がないか、30項目以上をチェックするという念の入れようだ。
Back Marketで販売する製品は30日間の無料返品保証と、1年間の動作保証を付けており、サポートも重視している。
バッテリー容量は80%を下回らないようにしている
ユーザー視点では、バッテリー容量(%)がどの程度なのかも気になるところだ。これはスペック値のmAhではなく、新品の100%から何%まで消費しているかの劣化度合いを示すもの。Back Marketで販売する製品のバッテリー容量は80%を下回らないようにしているとのこと。Back MarketのECサイト上では、製品ごとにバッテリー容量を確認することはできないが、端末の古さによって、バッテリー容量のしきい値は変えているとのこと。
なお、国内でスマートフォンのバッテリーの修理をするには、総務省が定める登録修理業者への登録が必要だが、1機種あたりにかかる登録の費用が高額でハードルが高い。加えて、Back Marketはあくまで「プラットフォームを提供する立場」(ラローズ氏)のため、同社が登録終了業者となってバッテリーを修理することは行っていない。
Back Marketでの売れ筋はApple製品。スマートフォンはiPhone SE(第2世代)、iPhone 12、iPhone 8の順に人気が高いという。
価格については「整備をする分、上乗せされる」(ラローズ氏)というが、例えば2023年8月中旬時点でiPhone SE(第2世代)64GBモデルの価格は状態Aで2万3500円(税込み、以下同)のものがある。中古品を扱うゲオ(オンラインストア)だと、現在はサマーセール中とあって同じく状態Aで1万9602円や1万7122円と安いが、6月下旬時点で調べたときは2万円強と大差なかった。「価格は基本的に出店者が決めているが、競争がある」とラローズ氏が言うように、ライバルの中古端末を意識した値付けがなされているのかもしれない。
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