iPhoneを安価に購入できる「リファービッシュ製品」という選択肢 中古とは何が違うのか? Back Marketに聞く(2/2 ページ)
リファービッシュ製品とは、中古として回収されたデバイスを、専門の業者が検査、クリーニングなどの整備をした上で再販売されるもの。フランスで事業を開始したBack Marketはリファービッシュ製品を世界17カ国で取り扱っており、2021年に日本進出した。日本でもリファービッシュ市場が着々と成長しているという。
Back Marketの成長率は日本が世界一
世界の電子機器市場規模は180兆円に及ぶ一方で、リファービッシュ市場は12兆円にすぎない。しかしリファービッシュ市場は年10%のスピードで成長しており、ラローズ氏は成長の可能性を感じている。
「自動車市場でも同じことが起きています。日米欧州の中古車比率は10%未満でしたが、現在は75%を上回っています。それは、中古車市場のサービスのレベルや利便性が、新車マーケットと同等になったからです」(ラローズ氏)
さらに、Back Marketの成長率は日本が世界一だという。日本では中古スマートフォンも徐々に拡大し、メルカリのようなC2Cマーケットで下地が整っていることが大きいとの見解を同氏は示す。日本の中古・リファービッシュ市場は2.7兆円に達し、毎年10%に強のスピードで拡大傾向にあるという統計も出ている。日本では20〜30代の若年層が半数以上を占め、3分の1が女性。一般的な電子デバイス市場と比べて若者や女性の比率が多いことも特徴だ。
現在、物価の高騰や円安などの影響でスマートフォンの価格も高騰する傾向にあるが、こうした状況をラローズ氏は追い風だとみる。スマートフォンの新品よりもリファービッシュ製品が売れることは「環境にもいいと思う」「長期で使うことでライフサイクルも伸びる」と前向きに捉えている。
なお、Back Marketの販路は現状、自社サイトのみだが、例えばAmazonや楽天市場などに出店して販路を広げる考えはあるのだろうか。この点についてラローズ氏は否定する。「(ECサイトの)アプリはAndroidとiPhone向けに拡大しているが、Amazonや楽天などと組むと、私たちが意図しているエクスペリエンスと同等のものを提供できない」というのがその理由だ。
「私たちは、究極的にはお客さまの習慣を変えていきたいと思っています。よりサーキュラーエコノミーを意識し、リファービッシュ製品をあえて選んでいただきたいので、直販サイトを通じて、影響を及ぼしたいと思っています」(同氏)
一方で日本ではまだBack Marketの知名度がないのも事実。サイトに投稿されたレビューには、結果的に★5つの最高評価をしているが「iPhoneSEを安く購入したいと思って探した所、怪しげなこちらのサイトを発見」とのコメントも見られる。
認知度を上げる方策について、ラローズ氏は「プレミアムなリファービッシャーとネットワークを作るとともに、ジャーナリストの方と話をしたり、幅広く広報活動を売ったりして、もっと認知度を上げていきたいと思っています。日本ではメディア担当の新たな採用を行っています」とコメント。Back Marketが日本のリファービッシュ市場を拡大できるか、注目したい。
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