ドコモのパケ詰まり問題に終止符? 「全国2000箇所以上+鉄道動線」のエリア対策を強化(2/2 ページ)
ドコモがネットワーク品質向上の取り組みを説明。300億円を先行投資、2000箇所以上と鉄道動線でエリア対策を強化する。SNSや機械学習を活用し、トラフィックが増えそうな場所も先回りで対策していく。
イベント時の対策も強化、ワイドスターIIIも提供
大勢の人が集まり瞬間的にトラフィックが増大する、屋外イベントでの対策も強化する。屋内では可搬型基地局の「キャリー5G」を導入してスポットで対策する。屋外では4Gと5Gに対応した移動基地局車を増配備する。野外イベントが定常的に行われている場所では、4Gと5Gの設備を増やす対応も進める。
10月11日に提供開始する、衛星通信を用いたサービス「ワイドスターIII」も案内。ワイドスターIIIでは下り最大1.5Mbpsでの通信が可能で、キャリアアグリゲーションを利用すれば下り最大3Mbpsに拡張される。ワイドスターは日本全土と日本沿岸から約200海里をカバーしており、携帯番号での発着信や緊急通報も利用可能。Wi-Fi経由でスマートフォンと接続することもできる。
品質改善の最低基準は「HD画質の動画を快適に視聴できること」
これら品質改善の最低基準として、ドコモは「HD画質相当の動画を快適に視聴できること」を定めているが、「5G時代でこの基準はハードルが低いのでは?」との指摘もあった。小林氏は「20Mbpsくらいあれば4Kのデータは通せる。あとは基地局をいかに高度化して、コンテンツをしっかり準備できるか。しきい値はどんどん上げていかないといけない。設計基準は変えていきたいと思う」と述べた。
ユーザーの動線に即したエリア強化は、他社は既に実施しており、特にKDDIは「鉄道路線5G化」と称し、利用者の多い鉄道駅の5G化を2021年に完了させた。ドコモも同時期に取り組んでいてもおかしくないことだが、なぜここまで遅れたのか。小林氏は、コロナ禍が終息して、人流が戻ることを予想した対策が遅れたことを認める。「もっと人流が戻ることを予想していれば、的確な対策ができた」(同氏)
他キャリアとの差別化、優位点について小林氏は「何が何でも他社に勝つというわけではない。他社と比較してというよりは、お客さまが利用いただけるところをしっかり考えている」と述べるにとどめた。
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