楽天モバイルに聞く、通信品質向上の取り組み 5G基地局は1万局を突破(2/2 ページ)
楽天モバイル 執行役員 副CTO 兼 モバイルネットワーク本部長の竹下紘氏に、通信品質向上について話を聞いた。楽天モバイルの4G基地局は、2023年6月時点で5万8343局が開設しており、楽天回線のみの人口カバー率は98.7%に達している。Opensignalの調査結果では、4Gの上り、5Gの下りと上りは3キャリアの平均を上回る結果となった。
KDDIの新ローミング効果はこれから、プラチナバンドの運用にも期待
KDDIとの新ローミング協定により、東名阪の一部繁華街でローミングを実施するが、「結果が見えてくるのは秋以降順次」(竹下氏)とのことなので、今後の進展に期待したい。楽天回線のみではまだつながりにくい場所は比較的多いため、「個別に弱い場所をつぶしていく」ことが喫緊の課題だが、「ローミングの進展に応じて改善が期待される」と竹下氏が言うように、当面はローミングとの合わせ技でエリアを整備していく。
10月3日には、総務省が割り当て指針を告知していたプラチナバンドの700MHz(3MHz幅×2)を、楽天モバイルのみ申請したことが明らかになり、同社への割り当てが決定的になった。取材時には割り当てが確定していないため、具体的な運用方法についてコメントを得られなかったが、同社にとって追い風なのは間違いない。
竹下氏がもう1つ課題に挙げるのが、「エリアの改善がユーザーに届いていないこと」だという。筆者の周囲でも、「楽天モバイルはまだつながりにくい」という声をよく聞くが、こうした評価は一朝一夕では覆せない。そこで楽天モバイルは、「楽モバニュース」と題したメールマガジンをユーザーに送付しており、ユーザーが居住する都道府県での通信改善状況を発信。例えば新たに5G基地局が設置された場所や、そこに有名スポットが含まれていることなどを伝えている。こうした地道な広報活動も重要な取り組みだといえる。
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