ソニーに聞くXperiaのデザイン戦略 人気色「パープル」誕生秘話から21:9比率まで(1/4 ページ)
カメラの進化が目立つソニーのスマートフォン「Xperia」。もともとのデザインコンセプトは何だったのか、どのように変化してきたのか。ソニーグループでXperiaのデザインに関わる2名にうかがった。
ソニーが2023年に発売した「Xperia 1 V」「Xperia 5 V」は2層トランジスタ画素積層型CMOSセンサーの「Exmor T for mobile」を世界で初めて採用し、暗所での撮影性能を引き上げるなど、カメラ機能の強化が目立つ。
一方で細長いボディーにアスペクト比21:9の有機ELを採用するなど、2019年発売の「Xperia 1」のコンセプトが代々受け継がれている。
過去のXperiaのデザイン戦略がどのように継承されているのか、またユーザーの嗜好(しこう)によりXperiaのデザインがどのように変わってきたのかなどについて、ソニーグループでXperiaのデザインに携わる2人に話をうかがった。
- ソニーグループ クリエイティブセンター インキュベーションデザイン部門 スタジオ2 担当部長 鈴木茂章氏
- ソニーグループ クリエイティブセンター インキュベーションデザイン部門 スタジオ2 チーム4 アートディレクター 村井薫氏
情報の窓、一枚板の基本コンセプト
―― Xperiaのデザインはどのように変化を遂げてきたのでしょうか?
鈴木氏 英Sony Ericssonが初めてOSにAndroidを採用したスマートフォン「XPERIA X10」を発表したのが2009年でした。その日本版といえるモデル「SO-01B」が翌2010年にNTTドコモから発売されました。
ドコモでXperiaが出た当時、ガラケー(フィーチャーフォン)からスマートフォンへの移行期で各社さんが特徴のある端末を手掛けていました。「Human Centric(ヒューマンセントリック:人間中心)」「Human Curvature(ヒューマンカーバチャー:人間的な曲線)」、つまり手になじみやすい曲線ボディーを採用したのがSO-01Bでした。
そのデザインコンセプトはその後、「Xperia arc」へ受け継がれていきました。Xperiaが認知された時期、原点に戻って一枚板に戻そうとしたのが、「オムニバランスデザイン」を採用した、2013年に発売された「Xperia Z」でした。形状こそカーブがある端末はありますが、情報の窓をイメージした、一枚板の考え方はずっと変わらず一貫しています。
―― 2018年のMWCで発表された「Xperia XZ2」や、同年IFAで発表された「Xperia XZ3」は丸みを帯びていましたが、考え方が変わったのでしょうか?
村井氏 加飾をかなり一新させようと意識的に変化を加えました。側面にアルミ素材を採用し、前面と背面どちらにも3D曲面ガラスにしていました。ただ、モデルによって加飾表現を変えていくこと自体は他のモデルでも同じです。
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