ソニーに聞くXperiaのデザイン戦略 人気色「パープル」誕生秘話から21:9比率まで(2/4 ページ)
カメラの進化が目立つソニーのスマートフォン「Xperia」。もともとのデザインコンセプトは何だったのか、どのように変化してきたのか。ソニーグループでXperiaのデザインに関わる2名にうかがった。
Xperia 1ではフラットな形状に戻るも基本的な考え方は貫く
―― 2019年のXperia 1では丸みを帯びた形状から板の形状に戻りました。その理由を教えてください。
鈴木氏 原点に立ち返り、よりシンプルに研ぎ澄ます、という考えのもと板形状としています。
―― 最近は3Dガラス採用のスマートフォンが減っていますよね
鈴木氏 1以降も一部、3Dガラスを使用したモデルはありますが、基本的にはフラットな形状に戻しています。ベゼルそのものを減らし、狭額縁になってきています。Xperiaの中にはガラスよりもフレームの方を高くしたモデルもありました。手当たりを含めて3Dガラスを採用していましたが、ディスプレイやフレームの強度が進化したことで、フラットに戻せるようになりました。
村井氏 CMF(※)目線で補足しますと、Xperiaの板状のデザインに加飾を施すことは一貫して変わらないですが、世の中の動向やスマートフォンの普及率、ユーザーの使い方も変化していきましたし、何より当初(XPERIA X10の頃)は白、黒の色が多かったですが、徐々にニュアンスのある色、人に寄り添った色を採用していきました。
(※)CMF=プロダクトの表層を構成するColor=色、Material=素材、Finish=加工を司るデザイン分野の1つ
Xperia 1シリーズ、5シリーズ、10シリーズは画面サイズが近しい中、どのようなところに重きを置いて、ユーザーに届けるかを考えた結果、ハッキリと世界観を分けていくようになりました。
例えば、1シリーズはカメラ性能が他のモデルよりも突出しているので、撮影体験に重きを置いて機能性を表現できるような加飾を施していきました。5シリーズでは上質な質感を求める方から若年層までいろいろな人に対応できるような表現としている他、10シリーズでは軽さなどを加飾表現で取り入れていきました。Xperiaらしさを統一しながらも、少しずつ世界観を分け、色や質感で表現を重ねてきた経緯があります。
―― オムニバランスデザインは1シリーズ以降も継承されているのでしょうか?
鈴木氏 そうですね。基本的な考え方は現在も続いています。一定の方向から見たときの曲線美や、どの方向から見たときでもバランスの取れたデザインを目指したのがオムニバランスデザインでした。
―― サイズなどの制約がある中でバランスの取れたデザインを体現するのは難しいそうですね。
鈴木氏 はい。その辺りは設計の方々と議論しています。例えば、CMFチームから加飾をしたい、という要望が出れば、早めに情報を交換しながらデザインを進めていきます。
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