「Pixel 8 Pro」にGoogleの生成AIモデル「Gemini Nano」搭載 その他の「Feature Drops」も一気に紹介
GoogleはOpenAIのGPT-4と競合する新生成AIモデル「Gemini」を発表した。その最小モデル「Gemini Nano」は「Tensor 3」搭載の「Pixel 8 Pro」で利用可能に。今年最後の多数の「Feature Drops」も紹介した。
米Googleは12月6日(現地時間)、5月のGoogle I/Oで予告していた新たな生成AIモデル「Gemini」の最小サイズモデル「Gemini Nano」を「Pixel 8 Pro」に搭載したと発表した。
Geminiは、マルチモーダルとしてゼロから構築した、「テキスト、画像、音声、動画、コードなど、様々な種類の情報を一般化してシームレスに理解し、操作し、組み合わせることができる」AIモデルとGoogleは説明する。
Gemini Nanoはデバイス単体で稼働できるようコンパクトサイズにしたバージョンのGemini。コンパクトとはいえ、「Tensor 3」搭載のハイエンドPixelでのみ稼働可能だ。
テキスト関連の機能はまずは英語でのみの対応で、日本語対応は未定とのこと。本稿では、同日発表されたGemini関連の2つの新機能と、12月版の「Feature Drops」として発表されたその他の新機能を簡単に紹介する。
「レコーダー」アプリで録音した音声の要約
英語のみだが、「レコーダー」アプリで録音した音声をテキストで要約できるようになる。Gemini Nanoのおかげでオフラインで可能だ。録音したテキストの画面で「Summersize」ボタンをタップするだけだ。Google I/Oで予告していた機能だ。
キーボードアプリ「Gboard」のスマートリプライ
こちらも当面は英語のみだが、キーボードアプリ「Gboard」のスマートリプライが端末内で生成できるようになる。これもGoogle I/Oで予告していた。
まずは英語版のWhatsAppで試せる。2024年にはより多くのアプリで利用できるようになる見込みだ。
ここからは、その他のPixelの新機能だ。
動画の手ブレ補正「動画ブースト」と「ビデオ夜景モード」
Pixel 8 Pro発表時に近日実装予定と予告していた「動画ブースト」と「ビデオ夜景モード」が同日のアップデートで実装された。
Googleフォトの「ポートレートライト」強化
人物のポートレートの位置や明るさを調整する機能「ポートレートライト」が新しいAIモデルによって強化され、より自然に加工できるようになった。
Googleフォトの「ボケ補正」強化
「Pixel 7」以降で使える「ボケ補正」機能もAIで強化され、走ってくるムクムク犬の写真も1タップでクリアにできる。
折りたたみ「Pixel Fold」で撮影前のプレビューが可能に
デュアルスクリーンの折りたたみ端末「Pixel Fold」で、内側のカメラで人物を撮影する際、被写体の人物は外側の画面で写り方を確認できるようになった。
Pixel端末をノートPCのWebカメラ代わりに
Pixel 6以降のPixelシリーズのスマートフォンをUVCをサポートするPCにUSB経由で接続することで、PCの内蔵Webカメラより高解像度のWeb会議用カメラにできるようになった。
「カメラ」アプリの「クリーン」機能で文書の汚れを除去
Pixelシリーズの「カメラ」アプリの新機能「Clean」は、スキャンしたドキュメントから汚れやシワを除去する。数回のスワイプで文書をきれいにできるとしている。「Googleドライブ」アプリが必要。また、利用できるのは、5G搭載のPixel Tablet、Pixel Fold、Pixel 5a以降のみ。
Googleの「パスワードマネージャー」へのパスキー追加が簡単に
5G搭載のPixel Tablet、Pixel Fold、Pixel 5a以降のモデル上の「パスワードマネージャー」で、パスキーをサポートするアカウントについてpingを送信するようになり、数回タップするだけでパスキーを追加できるようになった。
「修理モード」追加
12月14日以降のAndroidの更新で、空き容量が2GB以上あるPixelには「修理モード」が追加される。
修理モードは、Pixelを修理に出す際にオンにすることで、修理の前後にデータをワイプ、復元する必要がなくなる新機能。詳細は日本語ヘルプを参照されたい。
通話画面でのスマートリプライ
Googleアシスタントが有効になっているPixel Foldを含むPixel 6以降のPixelモデルの英語版に搭載されている通話画面でのスマートリプライが、Pixel Watchでも利用できるようになる(日本語対応時期は不明)。
Pixel WatchでPixelスマートフォンのロック解除
Pixel Fold、Pixel 4a以降のPixelシリーズのスマートフォンのロックを、ペアリングしているPixel Watchを近づけるだけでロック解除できるようになる。「Google Pixel Watch」アプリの「スマートウォッチの設定」→「セキュリティ」で設定できるようになるようだが、本稿筆者のアプリではまだ項目が表示されない。Googleによると、これを有効にするとPixel Watchのバッテリー持続時間が短くなるという。
Pixel Tabletのビデオ会議の音声向上
「Pixel Tablet」のビデオ通話で、Google AIによって背景ノイズが低減され、音声品質が向上した。
Pixel Buds Proのヘッドトラッキングによる空間オーディオ
詳細は日本語ヘルプを参照のこと。
天気と時計が合体したウィジェット
世界時計と天気予報をまとめた新しいウィジェットが追加された。
初代Pixel Watchでもおやすみモードの同期が可能に
Pixel Watch 2にあるペアリング端末のおやすみモードの同期が初代Pixel Watchでも利用可能になった。
各新機能がどのモデルに対応するかの一覧表(英語)を以下に転載する。ただし、日本語対応かどうかはこの表には記載されていない。
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