ドコモが「パスキー」を導入してフィッシング被害報告が0件に パスワードレス認証の効果(2/2 ページ)
パスワードを使わないパスワードレス認証であるパスキーを推進するFIDO Allianceが現状を説明。既に70億を超えるオンラインアカウントがパスキー利用できる。パスキーを使うことで、例えばGoogleはログイン成功率が4倍になり、ログイン時間が半減したという。
ドコモオンラインショップでパスキーを導入したらフィッシング被害の報告が0件に減少
日本ではNTTドコモを中心に早い段階からFIDOに力が入れてきた。日本での普及促進などを図るFIDO Japan WG(ワーキンググループ)は2016年に活動を開始して8年。10社からスタートしたところ、2023年には64社まで拡大した。2022年と比べて、LINEとヤフーの合併、NTT(持株)とドコモの2社からドコモ1社の加盟に変更があったものの、2減8増で6社の純増となった。
毎月の定例会合は「1回も休んだことがない」(森山氏)ほどで86回を数え、技術、プロモーション、翻訳のサブWGも毎週、隔週の間隔で開催しているということで、活発な活動が行われている。
日本での採用企業も増えており、その成果も現れている。ドコモの場合、直販サイトのドコモオンラインショップでパスキーを必須にしたところ、フィッシング被害の報告が「0件になった」(同)。
KDDIはau IDでパスキーを採用し、既に登録者は1000万人を突破。ログイン関連の問い合わせにおいて、コールセンターへの入電数が3割減少した。LINEヤフーでは、Yahoo! JAPAN IDにおいて、SMS認証などの4400万のパスワードレスアクティブユーザーのうち、2100万がパスキーを設定。スマホユーザーの40%以上が認証でパスキーを使っているという。
メルカリはまだネイティブアプリなど一部でパスキーに対応していないが、登録ユーザー数は210万となり、2024年にはアプリ対応してさらなる利用拡大を図るという。
FIDO Japan WGでは、2024年も継続して日本での参加企業の拡大や定例会合などの開催で知見やノウハウを集積してパスキーのさらなる進化を図っていきたい考えだ。
パスキーの採用企業は増えてきたが、現状は、多くのサービスでパスワードとパスキーの併用という状態。Microsoftやドコモのようにパスワードを無効化できるサービスも存在するものの、パスワードが残るとそれがフィッシングやハッカーに侵入されるセキュリティホールになりかねない。森山氏も、「パスワードレスにすることでフィッシングは抑えられる。方向性としては(パスワードレスを)推進していきたい」と話している。
関連記事
- Googleアカウントが「パスキー(Passkey)」に対応 生体認証でログイン可能に
米GoogleはGoogleアカウントへのログイン方法として、パスキー(Passkey)を導入。PCやスマートフォンのロックを解除するのと同じ方法(指紋、顔スキャン、スクリーンロックPIN)で、アプリやWebサイトにログインできるようになった。パスキーは「Yahoo! JAPAN ID」など他の企業サービスでの導入が進む。 - ドコモ、専用アプリなしのパスワードレス認証「パスキー」を開始 これまでと何が変わる?
NTTドコモが4月5日、パスワードを使わない認証方法「パスキー」を導入した。これによって、iPhone、Androidのユーザーはいずれも、より簡単に生体認証でドコモサービスにログインできるようになる。パスキーの詳細や狙いを同社に聞いた。 - パスワードを使わない認証技術「FIDO」が進化 デバイスやOSを越えて利用可能に
フィッシング詐欺やパスワードリスト攻撃などに対抗する技術として、パスワードを使わない認証技術FIDOを推進するFIDOアライアンスが、普及に向けた取り組みを加速している。FIDOは、Webサービスのログインする際に、スマートフォンやPCの生体認証を使うための技術で、パスワードを置き換えることを目指している。現在、認証技術はFIDO2へと進化し、これを使ってWebサイトにログインするための「WebAuthn」技術が標準規格化されている。 - 専用アプリなしで「dアカウント」のパスワードレス認証 2023年2月から提供へ
NTTドコモが、新しいパスワードレス認証を2023年2月をめどに導入する。同社も加盟するFIDO Allianceなどが提唱する「Web Authentication(WebAuthn)」と「Passkeys」を利用することで、専用アプリが不要となる。 - パスワードのいらない世界へ――NTTドコモ、「FIDO Alliance」のボードメンバーに
ドコモの2015年夏モデルの注目点のひとつである、生体情報を使ったオンライン認証。ドコモは、その規格を策定した「FIDO Alliance」にボードメンバーとして参加することを明らかにした。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.