Xiaomiの日本戦略を聞く 「テレビは想定の3倍以上、新スマホも爆発的に売れている」(1/3 ページ)
Xiaomiが、「神ジューデン」の後継機として「Xiaomi 13T Pro」を発売した。KDDI向けには、チューナレススマートテレビ「Xiaomi TV A Pro」を投入し、キャリアショップでテレビを売るというインパクトで話題を巻き起こした。日本での存在感を高めているXiaomiの戦略を聞いた。
ソフトバンクとタッグを組み、「神ジューデン」を一躍世に広めたのが、Xiaomiの「Xiaomi 12T Pro」。超急速充電に絞ったプロモーションが功を奏し、同社の認知度向上にも貢献した。神ジューデンの枠組みには、その後OPPOも加わっているが、120Wの高出力を誇るのは同社の端末だけだ。そのXiaomi 12T Proの後継機となる「Xiaomi 13T Pro」が、12月に登場した。同モデルでも、ソフトバンクとXiaomiは再び神ジューデンを訴求。カメラ機能の高さや、発売直後から2年で実質24円(現在は1年で12円)になる価格設定も注目を集めた。
そんなXiaomi 13T Proと同じデザインを採用した「Xiaomi 13T」も、KDDIのauとUQ mobileが取り扱う。「Pro」のつかない「Xiaomi 12T」は日本で発売されなかったが、販路を拡大した格好だ。KDDIは、同社のチューナレススマートテレビ「Xiaomi TV A Pro」もauショップで展開。キャリアショップでテレビを売るというインパクトで話題を巻き起こした。また、10月にはau、UQ mobileとオープンマーケットで、コストパフォーマンスに優れた「Redmi 12 5G」の販売も始まった。
矢継ぎ早に新モデルを投入するXiaomiだが、ハイエンドモデルやスマートテレビなど、そのラインアップを徐々に拡大し、日本での存在感を高めている。では、同社はどのような戦略で製品を展開しているのか。Xiaomi Japanの取締役社長を務める大沼彰氏と、同社のプロダクトプランニング本部 本部長の安達晃彦氏に話をうかがった。
auのチューナーレステレビは想定の3倍以上売れている
―― Xiaomi 12T Proに続き、Xiaomi 13T Proを発売しました。これは、前回の反響を踏まえてということでしょうか。
大沼氏 2022年は神ジューデンの第1号機を出しました。(充電を訴求したのは)お客さまに一番見えるのが、充電のところだったからです。ソフトバンクがああいった宣伝をしたインパクトは大きかった。お客さまにもそれが響いたというのが、1点目です。ただ、それで終わりにするのではなく、次のものをしっかりと考えていかなければなりません。これはわれわれの考え方ですが、ソフトバンクにも考えがあり、ありがたいことに商品をリリースすることができました。
―― 前回との違いとして、ProのつかないXiaomi 13Tも販売しています。これをKDDIが販売するというのは、すみ分けを意識してのことでしょうか。
大沼氏 すみ分けはわれわれがしたわけではなく、事業者の考え方です。ソフトバンクは充電の時間にこだわるので、おのずとProになる。一方でKDDIはコアな部分でのスペックやお客さまに提示する値段を考え、どちらを取るかとなったときにXiaomi 13Tを選ばれました。おかげさまで、どちらもわれわれの想像以上で、爆発的に売れています。ブランドとしての認知度はまだまだ低いですが、ソフトバンクやau、UQ mobileを経由してユーザーに届いたのは非常に大きかったと考えています。
―― 特にソフトバンク版は、「いきなり実質24円」という価格のインパクトが大きかったと思います。KDDIも本体価格はかなりがんばっているように見えました。
大沼氏 価格の手法はソフトバンクとKDDIで異なりますが、われわれの考え方を分かっていただけたからというのが大きいですね。われわれがこうしてくださいと言っても何とかなるわけではありませんが(笑)、ストーリーがしっかり通じたのだと思います。
また、KDDIが取り扱ったテレビは、想定の3倍以上売れています。それにひも付けたXiaomi 13Tの施策はいろいろなことをやっています。そういったところでの相乗効果が出ています。これは点ではありません。9月に開催した発表会では、グローバルの考え方や日本市場をどうするのかといった考え方をしっかりお伝えしましたが、そういったところはキャリアの皆さんからの評価も高かった。長く一緒にやっていき、お客さまにいいものをイノベーションと一緒にお届けできると思います。Xiaomiの独自なところはIoTにあると思っていますが、テレビはテレビ、スマホはスマホというだけでなく、その掛け算ができるのは他社と違うところです。
―― 確かに、KDDIはスマホだけというより、テレビを販売したのが驚きでした。まさかauショップで販売するとは思わなかったので。
大沼氏 これをやるには、どちらにとってもメリットがなければなりません。われわれはまだブランド認知度が低い。一方で、メインとしてはチューナーが付いたテレビが多いとは思いますが、サブのテレビを持つ人も増えています。KDDIとしてはそれを生かして、OTT(上位レイヤーのサービス)のビジネスでARPU(1ユーザーあたりの平均収入)を増やしていくことができるというところで、ウィン・ウィンになります。この両社の考えが一致したのは大きかったですね。
KDDIの覚悟もすごかったです。われわれは徐々にと言ったのですが、KDDIのおかげで最初から全auショップと量販店で販売することになりました。「au +1 collection」はこれまで量販店で販売することがなかったのですが、それも今回新しかったところです。
―― サブのテレビとおっしゃっていましたが、地上波を見ない人も増えているので、メインになりうるのではないでしょうか。
大沼氏 確かにテレビを見ない方は増えていますし、特に首都圏ではその傾向が顕著です。OTTのサービスとしては、TVerを代表とするアプリもあります。また、ケーブルテレビのセットトップボックスやレコーダーにチューナー機能が入っていると、テレビと二重になってしまうということもあります。そういった意味では、裾野は思っているより広いですね。
―― スマホとIoTは、販売面だけでなく、機能面での連携のようなものもあるのでしょうか。
大沼氏 スマホにアプリケーションが入っているので、音量などの調整もそれだけでできます。
安達氏 日本ではまだリリースされていませんが、今後は「Xiaomi HyperOS」も導入していきます。思想としては、スマホとIoT、本国(中国)では車もありますが、そういったものを一体として人間中心に使い勝手を追求していくためのものです。OSというより、UIレイヤーに近いですが、そういった活動はどんどん深まっていく予定です。
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