モトローラ日本法人新社長の仲田正一氏を直撃 “ドコモ時代の知見”を生かし、キャリアビジネス拡大を狙う(1/2 ページ)
ドコモ出身の仲田正一氏がモトローラ・モビリティ・ジャパンの社長に就任。同氏はドコモのプロダクト部で海外メーカーなどの端末を日本に多数導入してきた実績がある。そんな仲田氏を新社長に迎えたモトローラは、日本市場にどうコミットしていくのか。
2023年はフリップ型のフォルダブルスマホを2機種、日本で発売したモトローラ。上位モデルの「motorola razr 40 ultra」は、3.6型の大型のアウトディスプレイを備え、閉じたまま使えることが注目された。一方で、廉価モデルの「motorola razr 40/40s」は、その価格の安さで大きな話題になっている。特にソフトバンク版のrazr 40sは、MNPでの契約時に実質価格が1万円を下回るインパクトが大きく、販売も好調だという。
自身で販売するオープンマーケットモデルに加え、ソフトバンクとタッグを組むことで右肩上がりに成長しているモトローラだが、12月はその日本法人であるモトローラ・モビリティ・ジャパンに新たな社長が就任することが発表された。ドコモ出身の、仲田正一氏だ。同氏はドコモのプロダクト部で海外メーカーなどの端末を日本に多数導入してきた実績がある。
直近ではドコモの米国法人であるDOCOMO USAで社長兼CEOを務めており、グローバルでのビジネス経験も豊富だという。そんな仲田氏を新社長に迎えたモトローラは、日本市場にどうコミットしていくのか。就任直後の同氏に、その方針や意気込みを聞いた。
ケータイのRAZR導入時にドコモ側のプロダクト担当だった
―― まずは、社長就任までの経歴を振り返っていただきたいのと、モトローラに入社した経緯を教えてください。
仲田氏 キャリアで仕事をしていたときは端末の仕事が長く、計11年やっていました。商品企画をしてメーカーさんと一緒に作り、市場に出すということをやってきました。そうやっていろいろなメーカーさんの端末を組み合わせてポートフォリオを作るのは面白い仕事でしたが、一方で1つ1つの商品を作るのはやはりメーカーの力です。いつかは、メーカーで仕事をしたいと思っていましたが、ご縁があり、このタイミングでの社長就任になりました。
当時から、モトローラは好きなブランドでした。実は「RAZR(M702iS/iG)」を日本に導入する際に、ドコモ側のプロダクト担当として関わっています。そのときから、モトローラはなんてすごい会社なんだと思っていました。テクノロジーも最先端でしたし、それをあのかっこいいデザインで作ってきた。当時は押し込むボタンが当たり前でしたが、フルフラットな金属ボタンを採用したのも印象的でした。ドコモ時代は、そうやって海外メーカーが日本市場に入るときのご支援もしていました。
また、商品企画の前は、オランダでiモードの海外普及をやっていました。2000年ごろから海外進出をするということで、いろいろな部署から人材を集めてオランダに拠点を構え、欧米で立ち上げる際の技術的な支援をしていました。iモードには端末も対応する必要があるため、モトローラはもちろん、ノキアやエリクソンを回ってお願いをしていたという経験もしています。
―― ドコモでプロダクト担当の経験が長かったということは、やはり日本市場での拡大を期待されているのでしょうか。
仲田氏 期待されていることは、その通りです。モトローラは、日本市場に向け、この2、3年いろいろなことをやってきました。オープンマーケットを中心に端末を出し、どれがうまくいき、どれがそうでないのかを手探りで進めてきました。その中でrazr 40/40s/40 ultraのような商品が世の中に認知され、キャリアにも出していただくことができました。また、Y!mobileからは「moto g53y 5G」も発売しました。こうやって基盤が出来上がってきたので、それをさらに成長させ、大きくしていくことを期待されています。
―― やはり古巣のドコモへの採用も狙っているのでしょうか。
仲田氏 オープンマーケットは継続的にやっていきますが、もっと多くのキャリアに採用していただくことは期待しています。ご質問にあったドコモはもちろんですが、KDDIや楽天モバイルでも販売していただきたいと考えています。
―― キャリア市場、特にドコモでの販売はハードルが高いという話を聞くこともありますが、何か手はありますか。
仲田氏 やはり、ものをしっかり作っていくことだと思います。キャリアと一緒に一歩一歩やっていくことで、間違いない商品が出来上がっていく。よい商品を作るために、一緒にやっていくことは大きな意味があります。
グループ全体で「テクノロジーの民主化」を重視
―― ドコモでは国内外で経験を積んできたと思いますが、これをどのように生かしていくお考えでしょうか。
仲田氏 まだまだこれからの話ですが、日本向けに必要なものは少なくありません。今はFeliCaが入り、防水・防塵(じん)が入って機能的な対応はできていますが、デザインやカラーなどにはもっともっと工夫の余地があると考えています。例えば、ドコモ時代にも、日本専用のカラーを1色入れたことがあります。こうしたことをグローバルに理解してもらい、取り入れてもらうような活動はしていきます。また、フォルダブルはかなり新しいところで、このよさはもっと訴求していきたいと考えています。
―― フォルダブルは、ようやく普及の兆しが見えてきたような印象です。特に発売したばかりのrazr 40/40sは、価格もこなれていて手に取りやすいと思いました。
仲田氏 やっと普段使いできるフォルダブルになりましたし、僕自身も使っていてそのように思います。やはり、折りたたんだときのコンパクトさは魅力ですし、背面ディスプレイ(アウトディスプレイ)ももっといろいろな使い方を訴求することで、新しい価値になります。縦長のスティックタイプがほとんどになっている中、フォルダブルは新しい形状ですが、グローバルメーカーの特徴である調達力や製造力があるので、それなりのお値段で入れることができます。ここはもっと(ユーザーに)知っていただきたいところですね。
レノボグループ全体のカルチャーとして、テクノロジーの民主化は重視しています。非常にいいもの、使い勝手に優れたものをお手頃なお値段で提供し、たくさんの方に使っていただくのはグループの文化です。
フォルダブルはまだ新しいものなので、折りたたみがあることは知っていて、触ったことがあっても、毎日の生活に取り入れ始めた人は少ない。ただ、このコンパクトさに慣れてくると、何で今までこんなに大きなものを持っていたんだろうとなります。ですから、いろいろな方に使っていただける機会は増やしていきたいですね。タッチ&トライなども、いろいろなところでできるようにしたい。ユーザーの方に使っていただき、一緒になって折りたたみの文化を作っていければ面白いと思っています。
―― 逆に、今ラインアップで足りないものはありますか。
仲田氏 もちろん改良や改善は必要ですが、上のレンジにrazrがあり、アフォ―ダブルなところではgシリーズもあるというラインアップはいいと思っています。増やしていきたいのは、その周辺的なところですね。かつてはスマートウォッチも出していましたが、今はほとんどありません。ユーザーはスマートフォンだけではなく、いろいろなものを使って生活していますから。
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