スマホから“手数料無料”で口座のお金を移動 「エアウォレット」の仕組みと決済戦略に迫る:モバイル決済の裏側を聞く(2/2 ページ)
送金アプリ「エアウォレット」は、リクルートと三菱UFJ銀行のジョイントベンチャーである「リクルートMUFGビジネス」が提供している。手数料無料で金融機関のお金を移動できるのが特徴だ。ためたお金は決済ブランド「COIN+」による決済も可能だ。
デジタル給与時代でのエアウォレットとCOIN+の可能性
リクルートでは毎月の給与振り込みを代行する給与支払サービス「Airワーク 給与支払」を提供中。現在、厚生労働省に申請中の賃金支払いを手掛ける資金移動業者として指定されれば、給与の受取先としてCOIN+を設定できるようになる。
「給与をデジタルマネーで受け取ることになったら、その引き出しは無料でできる方がいいです。金融機関の口座に送金してもいいし、家族に送金してもいい。お店での決済にも利用できます。デジタル給与に対してこのようなバリエーションを用意できているのが、僕らのサービスの強みだと思っています」と、西脇氏は自社のサービスの可能性について語る。
現在、給与は月単位で支払われるのが一般的だが、デジタル給与の時代になれば、週単位や日払いすることも可能になる。そのときにCOIN+で受け取ったデジタル給与の出金や、アプリ間での送金が無料でスムーズに利用できるエアウォレットは、多くの支持を得ることができるだろう。
「われわれのコンセプトは、お金の使い勝手を上げていきたいということ。エアウォレットやCOIN+、Airワーク 給与支払などのさまざまなサービスで、お金にまつわる多様な選択肢を提供したいと思っています。このコンセプトがご理解いただけると、今まで以上に生活が豊かになる人がいらっしゃるだろうと思います」(西脇氏)
他にも送金サービスは多々あるものの、エアウォレットはスムーズに無料でお金を移動できる点で有利だといえる。デジタル給与時代になったときにより効果を発揮することになるだろう。
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