ドコモの通信品質、9割以上の対策が完了 「d払い」アプリを品質改善に活用(1/2 ページ)
NTTドコモが2月2日、通信サービスの品質改善についての取り組み状況を説明した。点(2000箇所)と線(鉄道動線)での集中対策は計画通り完了し、通信品質が大きく向上したとしている。体感品質の向上に向けて、「d払い」アプリのバーコード表示時間も活用する。
NTTドコモが2月2日、通信サービスの品質改善についての取り組み状況を説明した。
同社は2023年10月に、通信品質を改善すべく、300億円を先行投資して、全国2000箇所以上を「点」、鉄道動線を「線」としたエリア対策を強化。2023年12月までに90%以上の対策を完了させることを予告していた。
改善したエリアのスループットが1.7倍に向上
こうした、点と線での集中対策は計画通り完了し、通信サービスの品質が大きく向上したとしている。NTTドコモ ネットワーク本部長 常務執行役員の小林宏氏によると、「12月の計画を若干超えるくらいで進捗(しんちょく)している」という。
「もともと2000箇所以上をターゲットにモニタリングしていた。9割を12月までとしており、残りは設備対応が難しいだろうと考えていたが、この期間中にも(設備対応が)できた箇所が数10箇所あった。その部分を上積みと表現している」(小林氏)
改善したエリアのスループットは、2023年5月と比較して、12月時点で1.7倍に向上したという。都内に加え、JR大阪駅やJR名古屋駅のスループットも向上した。これは、アンテナの位置変更、設備増設、エリアチューニングなどによって実現している。
ただし2000箇所以外でも、いまだ品質改善に至っていない場所は残っている。「設備も含めてだが、ビルのオーナーとの調整が難しい。建物の中も工事するのが大変なので、そういうところが残っている。都市部でも、まだ不便な箇所が残っていることは認識している。ずっとトラフィックは伸びていて、リソースが逼迫(ひっぱく)している基地局は関知しているので、設備対応していこうと進めている」(小林氏)
鉄道動線については、アンテナの角度や方向、出力調整など、既存基地局を活用した対策を2023年12月に完了させた。5Gと4Gの切り替え高速化や設備増強による対策は、継続して実施している。
対策により、通勤時間の電車において、乗車時間の90%、快適に動画を視聴できるようになったという。これは、ドコモの担当者が通勤の時間帯に電車に乗り、一定区間スループットを計り続け、その数値を見ながら動画視聴できるかどうかを判断したという。
「(あらかじめ先の動画を読み込んでおく)バッファリングがあるので、その量も計算の中で含めながら、再生できる時間をどれぐらいになるのかを計算した。90%以上は見られないのかというと、動画サービスの性質、画質を落として見られることもある」(小林氏)
これらの対策により、ドコモの通信品質についてのネガティブな声は減ったという。具体的には、Xに投稿された1週間のX(旧Twitter)での発信数が、2023年3月から2023年12月は約75%減ったそうだ。
集客イベントの対策も強化
ドコモは集客イベント対策も強化している。2023年12月に開催されたコミックマーケット103では、5G基地局を増設した他、アンテナを「狭ビームタイプ」に取り換えて電波を集中させた。5G移動基地局車の追加配備や、5Gの臨時基地局の設置も行った。
こうした対策が功を奏し、コミックマーケット103会場での下りスループットは、夏に行われたコミックマーケット102から約1.5倍向上したという。さらに、SNS(X)でのネガティブな声は約80%減少したとのこと。コミックマーケットに限らず、花火大会や音楽フェスなどの集客イベントでは、今後も対策を強化していく。
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