ZTEの最上位スマホ「nubia Z60 Ultra」を試す Snapdragon 8 Gen 3搭載で9万円台〜の実力は?(3/3 ページ)
ZTEから「nubia Z60 Ultra」が登場した。カメラ性能重視のスマートフォンとして仕上がっており、メインカメラは35mm画角を採用。ゆがみが少ない写真を撮影できる。本記事ではnubia Z60 Ultraの作例を交えて紹介する。
安くてもしっかり使えるハイエンドスマホ 日本での正規展開にも期待
nubia Z60 Ultraはクセこそあるが、高いカメラ性能、UDC(アンダーディスプレイカメラ)採用したディスプレイ、板のような角ばったデザインでフラグシップスマートフォンの中でも存在感を示している。特にUDCと35mm画角のメインカメラはZTE以外のメーカーではあまり見られず、同社のスマートフォンを選ぶ上で特徴的な存在だ。
何よりも売りは、グローバル向けで599ドル(約8万8000円)からの価格設定だ。他社の10万円以上で販売される機種とハードウェア構成的に大きな差もなく、コストパフォーマンスの高さが魅力だ。ハードウェア構成的に近いGalaxy S24 Ultraが1199ドル(約17万6000円)からの価格設定を踏まえると、nubia Z60 Ultraの安さが際立つ。
実は、このスマートフォンに関しては日本向けに一部販売代理店を通じて定価での取り扱いがある。価格は最小構成のメモリ8GB、ストレージが256GBで税込み9万9800円としており、確かに税込み価格としては納得だ。
このように、Snapdragon 8 Gen 3を採用するスマートフォンとしてはかなり安価な設定だ。先行予約特典で5000円値引きのクーポンを配布するなど、REDMAGICシリーズ並みにアピールしている。
日本向けの販売代理店に確認したところ、今回は日本のユーザーから各種フィードバックを得ることを目的としたテストマーケティングであり、現時点ではメーカー側で技適を取得していない。そのため、総務省の特例申請を用いて実験目的等で利用するマニアやインフルエンサー向けの販売としている。
今回のテストマーケティングの販売実績や利用者のフィードバック次第では、日本向けに技適を取得しての正規展開も視野に入れているそうだ。端末価格高騰が続く中、コストパフォーマンスを重視したハイエンドスマホの選択肢が増えることは喜ばしい。
一方で、nubia Z60 Ultraの惜しい点として、全体的に作り込みが甘いと感じる部分も少なくない。カメラの動作レスポンスがあまりよくなかったり、若干のチューニング不足を感じたりする場面もあった。今回のグローバル版では日本語も利用できるが、一部日本語化の甘い部分も見受けられた。販売代理店によると、このような部分はソフトウェアアップデートで改善するとのことだ。
nubiaを展開するZTEとしては、REDMAGICシリーズ同様にオンライン販売を中心としたオープンマーケットでの日本展開を模索しているようだ。日本では知名度の関係でまだ数があまり出ないこと、同社が売りのコスパを生かせる販売方法なので相性もいい。
日本では値引き規制の関係で、いわゆる「一括1円」のような売り方がなくなったことで、製品価格に敏感な利用者が増えたようにも感じる。環境由来であまり販売されなかった「コストパフォーマンスの高いハイエンドスマートフォン」に注目が集まることも納得できる。これはオープンマーケットのXiaomi 13T Proがヒットしていることからも、今後各社が狙いを定めるセグメントになりそうだ。
そのような環境だからこそ、コストパフォーマンス重視のZTEが再びハイエンドスマートフォンを日本向けに投入してくることも考えられる。nubia Z60 Ultraが正規発売されると、REDMAGICを除けば2020年発売の「AXON 10 Pro 5G」以来4年ぶりのフラグシップなだけに、安価で高性能な機種を求める層からの期待値は高い。日本市場への展開にも注目したい。
著者プロフィール
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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