KDDI高橋社長が語る「povoのオープン化」「ローソンとの提携」 他社との決定的な違いは?(2/2 ページ)
KDDIはMWC Barcelona 2024で、GMSAが発足した共通APIを活用した5G SAのユースケースや、povo2.0のホワイトレーベル化、さらにはStarlinkとの取り組みを紹介していた。海外事業者とのパートナーシップ構築や、海外展開のアピールの場としてMWCを積極的に活用していたことがうかがえる。そんなMWCを、KDDIの代表取締役社長CEO、高橋誠氏はどう見ているのか。
povoのホワイトレーベル化、ローソンへの経営参画の狙い
―― povoのホワイトレーベル化構想も発表しました。
高橋氏 Z世代に向け、彼らのeSIM販売スキームをSDK化し、オープンにしていきます。コミュニティー側からSIMが買えるという仕組みで、povoは表に出ていかずにホワイトレーベルとして対応するという方向性を打ち出しています。povoを国際展開するということで、各国のキャリアに売り込んでいきます。
―― MWCとは直接関係ないかもしれませんが、ローソンへの経営参画について、発表後の反響はいかがでしたか。
高橋氏 「何で小売りに手を出すの?」というのが、最初の反応。ただ、次の反応として「面白い」という人たちがいます。おべんちゃらを言われているわけではないと思いますが、僕の知っているエッジが効いた人たちはみんなそう言っています。
これはご理解いただけるかどうか分からないのですが、僕たちは基本的にバーティカルタイプ(垂直統合)を志向しています。auの延長線上にコンテンツを置くし、ファイナンスを置くし、エネルギーも置く。今度はコンビニエンスストアを置いて、auユーザーならこんなにいいよねということが広がっていく形を目指しています。
一方で、ソフトバンクさんや楽天さんはホリゾンタル(水平的に)広げている。PayPayはみんなが使える、楽天市場はみんなが使えるとやり、それがだんだん後からバーティカルになってきています。だから経済圏という言い方になるんだと思います。
―― その違いはどこから来ているのでしょうか。
高橋氏 auのユーザーに対するエンゲージメントを高めていくという話の方が、お客さま目線だと思っているからです。戦略の違いですね。
図にすると分かりやすいのですが、auやUQ mobileのユーザーは、KDDIでいうとパーソナル事業本部がいて、そのメンバーが向き合っています。そのユーザーに、バーティカルにしたローソンにはこんなにいいことがあるよねということを伝え、ローソンに向かってもらう。一方で、ビジネス事業本部やローソンがよりよく発展するよう、ソリューションを提供していく。この2軸でやっていきます。これをグローバルにまで出していけるようになればいいなと思っています。
―― コンシューマーとローソンをそれぞれKDDIが支えて相乗効果を出していくということですね。発表会では、ほとんどauやUQ mobileの話がなかったので、あまりそこには関係がないのかと思っていました。
高橋氏 その部分はあえて言いませんでした(笑)。「auのためにローソンを垂直統合します!」と言ってそれだけだと捉えられてしまうと、なんかつまらない話になってしまいますからね。
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