月額1万円超えで200GBは誰向け? イオンモバイル新料金プランの狙い MVNOで中・大容量プランの競争が激化:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
MVNOのイオンモバイルが、4月1日に料金プランを改定する。中容量帯の30GBから50GBを値下げするとともに、60GB〜200GBのデータ容量を選択可能にする。背景には、データ使用量の増加や、シェアの利用が拡大していることがあるという。
値下げで急増するシェアユーザー、データ使用量の増加も引き金に
やや複雑な仕掛けに見えるシェア前提の料金設計だが、イオンモバイルはイオンの店頭で、料金プランをきちんと説明できるのが強み。選択できるデータ容量を増やしても、それを伝えるための基盤が整っている。1GB/10GB刻みで細かくデータ容量を選択できるのも、いわば料金のコンサルティングができるからだ。こうした背景もあり、シェアプランの比率は2022年ごろから急増しているという。
20GB以上の料金プランに絞ると、2021年9月には11.1%だったシェアプランの比率が、1年後の2022年9月には27.8%に増え、23年9月には37.9%まで拡大している。直近の2024年2月には、その割合が40.4%に達した。イオンリテールでイオンモバイルの商品マネージャーを務める井原龍二氏は、「イオンモバイルはシェアで伸びている」と語る。結果として2022年度以降は減少していた契約者数が純増に転じただけでなく、解約率も1.36%まで下がっている。
シェアプランが受け入れられていることに加え、ユーザーのデータ利用量も伸びているという。料金プランの平均契約容量は、2017年3月時点で3.3GBで、2021年までは3.6GBと増え方がなだらかだった、2022年からその勢いが拡大。2024年2月には、6.2GBに達している。「スマホのコンテンツがリッチ化し、広告が動画になっていることも多く、普通に使っていてもデータ量が増える」(同)のが、その理由だ。シェアプランに、より大容量のプランが求められる状況になりつつあったといえる。
200GBを現状の上限である5回線でシェアすると、1人あたりのデータ容量は40GBになる。料金は1人2701.6円なので、40GBの音声プラン(月額3058円)を個別に契約するよりも安く済む。さらに、イオンモバイルはデータ容量の追加と合わせ、シェアできる回線数を5回線から8回線に拡大する。仮に8回線で200GBをシェアしたとすると、1回線あたりのデータ容量は25GB。料金も、1人1853.5円まで下がる。
1GBあたりの単価はデータ容量が大きいほど安いため、大容量プランでシェアを組んだ方が安くなるというわけだ。井原氏によると、実際に「5回線では足りないという声があった」という。8回線であれば、夫婦とその子どもだけでなく、夫婦の親をシェアプランに組み込んだり、1人がスマホとタブレットの両方に回線を入れたりすることもできる。大容量の追加とシェアできる回線数の拡大で、料金プランの柔軟性が増した格好だ。
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