イオンモバイル、利用状況から“最適な料金プラン”を提案するサービス開始 シェアプランの改定も(1/2 ページ)
イオンリテールは2023年12月4日、MVNOサービス「イオンモバイル」向けに提供している「スマホメンテナンス」の改善を発表した。合わせて、イオンリテール イオンモバイル商品マネージャー 井原龍二氏がイオンモバイルの取り組みを、MMD研究所の吉本浩司所長がモバイル市場環境を説明した。記事内は全て税込み。
イオンリテールは2023年12月4日、MVNOサービス「イオンモバイル」向けに提供している「スマホメンテナンス」の改善を発表した。合わせて、イオンリテール イオンモバイル商品マネージャー 井原龍二氏がイオンモバイルの取り組みを、MMD研究所の吉本浩司所長がモバイル市場環境を説明した。記事内は全て税込み。
イオンモバイルのスマホメンテナンスは定期的なメンテナンスにより、トラブルの発生を未然に防ぐことを目的に、イオンリテールが2022年10月から提供している。イオンモバイルの店舗でユーザーのスマートフォンの状態をチェックしたり、最適な料金プランをアドバスしたりする。井原氏によると、4600人がスマホメンテナンスを利用しており、全体の94.3%が内容に満足しているという。利用者の約7割が60歳以上で、スマートフォンの利用に不安を抱える高齢者が利用しているようだ。
相談事例で最も多いのがアプリに関するトラブルで、「無料のアプリをインストールしたら、スマートフォンの動作(レスポンス)が鈍くなった」「反応が遅くなった」「頻繁に広告が表示されるアプリを入れてしまった」などの声が多いという。「われわれのスタッフがユーザーの端末を一緒に確認しながら、アンインストールを行うことで解決へ至った」(同氏)としている。
スマートフォンの経年劣化についても「経年劣化に気付きづらい」「買い換えのタイミングが分からない」といった不安払拭(ふっしょく)に向けて、スタッフがユーザーの利用状況に合わせて新しい端末への機種変更を提案しているという。料金プランについても「マイページへのログイン方法が分からない」という声を受けて、マイページの使い方とともに最適なプランへの変更方法を案内している。
スマホメンテナンスをリニューアルし、最適なプランやオプションサービスを提案する
イオンリテールは12月4日、これらに加えて、過去数カ月分の音声通話/データ使用料を確認し、最適な料金プランを提案する「診断メニュー」を新たに追加した。スマホメンテナンスという名称は据え置きで、スマートフォンそのものだけでなく、イオンモバイルの料金プランについてもカバーしていく格好だ。スマホメンテナンスの改善そのものは「2023年11月から試験的に行っているが、公開したのは今回が初めて」(井原氏)という。
イオンモバイルでは2023年12月現在、5分以下の国内通話を月額550円(税込み、以下同)の定額で利用できる「5分かけ放題」、10分以下の国内通話を月額935円の定額で利用できる「10分かけ放題」、月額1650円で制限時間なく何度でも国内通話が利用できる「かけ放題」を提供しているが、「ユーザーにとってどれが最適なのかが分かりづらい」(同氏)ことから、これらのかけ放題に加入していた場合にどれくらいお得になるのかを算出。これにより、「ある月に10分かけ放題に加入したが、5分かけ放題にしておいた方がお得だった」「その翌月には10分以上通話をしたが、かけ放題に加入する必要がない」などの提案を行えるようになるという。
データの容量チェックも通話と同じく、実際の使用量と最適なプランを比較し、実際の利用に合ったプランを提案できるようになったという。「6GBの容量を契約しているのに、実際は平均3.3GBしか使えておらず、余ったデータ容量がもったいない」ことから、「スタッフが実際の使用量に近い4GBプランを提案できる」(同氏)そうだ。楽天モバイルのように変動する“ワンプラン”にした方が、提案もプラン変更も省けそうだが、「20GB→1GBへ移行するユーザー(その逆も)が圧倒的に多いため、ワンプラン固定にするよりも1GB刻みで多様な選択肢を設けた方がいい」と同氏は説明する。
メンテナンスが1回で終わらないことも重要なポイントで、「ユーザーの利用状況を継続的に把握し、メンテナンスの履歴も蓄積していく」(同氏)システムとなっているため、「2回目以降は前回のデータをもとに提案を行える」他、「既存のサービスの改善や、新たなサービスの開発に役立つ」(同氏)としている。
回線ごとに容量を制限できるサービス、2024年2月から提供
イオンモバイルは「シェアプラン」で新たなサービスを開始することも発表した。シェアプランは音声通話とデータ通信の両方を利用でき、データ容量を最大5人でシェアできるプラン。2人目以降は1人あたり220円で追加できる。同氏によると、「シェアプランはもともと単身者による複数端末の所有を想定したサービスだったため、家族でイオンモバイルに加入するならシングルのプランを契約した方が安かった」という。
一方で、2021年に他の事業者の料金改定が相次ぎ、2022年にはイオンモバイルでも大容量プランの改定を行ったため、もともと単身者で加入した方がお得だったシェアプランが「家族でも使いやすくなった」と同氏。例えば、4人家族で1人あたり5GBを使う場合、シェアプランではなくシングルプランだと約5200円かかるところ、シェアプラン20GBを4人家族で使った方が3200円に安くなる計算になる。
複数人家族によるシェアプランの利用が増えた一方で、「子どもがデータを消費し過ぎてしまう」「子どもだけシェアプランから外すしかなくなった」などの意見が出たことを受けて、イオンモバイルは2024年2月から「回線ごとに容量を制限できるサービス」(同氏)を提供する。例えば、家族のうち、長男だけを月2GB止まりとし、親や次男がより多くのデータを消費できる――というようなイメージだ。
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