イオンモバイル、利用状況から“最適な料金プラン”を提案するサービス開始 シェアプランの改定も(2/2 ページ)
イオンリテールは2023年12月4日、MVNOサービス「イオンモバイル」向けに提供している「スマホメンテナンス」の改善を発表した。合わせて、イオンリテール イオンモバイル商品マネージャー 井原龍二氏がイオンモバイルの取り組みを、MMD研究所の吉本浩司所長がモバイル市場環境を説明した。記事内は全て税込み。
イオンモバイル“ならでは”のサービスや取り組みで不安払拭、乗り換え促進へ
イオンモバイルが今回発表したのは新料金プランではなかったが、イオンモバイルの誕生から10周年を迎える2024年、イオンならではのサービスや取り組みを提供していく予定だ。今回の発表内容も“イオンモバイルらしさ”の表れとみて取れる。特にスマホメンテナンスはスマートフォンに対して不安や抵抗を持つ人が他の事業者からイオンモバイルへ安心して移行できるような取り組みとしても期待できる。
MMD研究所の吉本所長は2023年12月4日の会見で、キャリアの乗り換え経験に関する調査資料をもとに、乗り換えが進んでいるのか否かについて説明した。
総務省が11月7日に発表した「日々の生活をより豊かにするためのモバイル市場競争促進プラン」では2024〜2025年度にかけて大きく分けて3つの取り組みに「納得感のある料金・良質なサービスの実現」「事業者間の乗換えの円滑化の加速」「事業者間の公正な競争環境の整備の促進」が示されている。吉本所長はこの内、事業者間の乗換えの円滑化の加速を説明の題材として取り上げ、MMD研究所の調査データとともに乗り換えが促進されているのか否かを解説した。
新料金プランの利用状況を見ると、MNO各社の新料金プランの契約数合計は2023年9月時点で約5960万となり、2021年にahamo、povo、LINEMOが登場して以降、新料金プランの契約が増えていることが分かる。MMD研究所の調査でも2020年以降にいわゆる主要ブランドとされるdocomo、au、SoftBankの契約数(割合)が減少していることが分かっている。
一方で、総務料が新料金プランへの乗り換え意向を調査したところ、MNOのサービスを契約する人の約半数が旧来の料金プランにとどまり、新料金への乗り換えができていないことが判明。理由の多くに挙がるのが「乗り換えに関する手続きの面倒さ」だ。吉本所長はこれらの資料をもとに「実態として乗り換えが十分に促進されていない」ことを指摘する。
MMD研究所が6月5日〜7日に実施した「通信キャリアの乗り換え経験に関する調査」では通信キャリアを乗り換えたことのある人は53.5%と半数を上回った一方で、一度も乗り換えた経験がない人は46.5%となった。
キャリア・プラン別で確認すると、主要ブランドの乗り換えは“促進できている”、といえるほど十分に行われていないことが分かる。特にフォーカスされるべきは「ドコモ、au、ソフトバンクを長きにわたって利用し、かつ乗り換えの経験がない人をいかにして動かすか」(吉本所長)だという。調査では3ブランドを使う人と、その他のブランドを使う人に対して、乗り換えを検討しない理由を聞いたところ、3ブランドを使う人の多くが「乗り換えの手続きが面倒だから」を、その他のブランドを使う人の多くが「他社のプランに魅力を感じないから」との回答をした。
調査では3ブランドを使う人に対して、具体的な理由も質問した。結果として多く挙がったのが「新しい端末の設定が面倒である」「データ移行に不安がある」「調べるべき情報が多いと感じる」の3点だったそうだ。そうしたユーザーの多くはオンラインショップではなく、店頭で契約していることも分かっている。これらの結果を踏まえ、吉本所長は「乗り換えるときの面倒な部分を取り払わないと、乗り換えは促進できない」との持論を述べる。
先に解説したイオンモバイルとしての取り組みを見ると、イオンリテールが全国に実店舗を持っていて、イオンモバイルの契約を行える点、さらに最適な料金プランを提案できる点が“イオンモバイルならでは”の強みとして表れており、今後の乗り換え促進に大きく寄与していくと思われる。
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