トーンモバイルがドコモのスマホ94機種で利用可能に 「TONE IN」の狙いとは(1/2 ページ)
トーンモバイルを利用可能なスマートフォンを限定せず、他の端末へも展開していくTONE IN戦略。その第1弾の具体的な内容が発表された。専用SIMはドコモが2021年以降に取り扱っている、または発売した端末で動作する。
フリービットは2024年3月22日、ドリーム・トレイン・インターネット(DTI)が運営するトーンモバイルで、「TONE IN」戦略の第1弾を発表。トーンモバイル専用SIMをNTTドコモが取り扱う94機種に挿すだけで、家族向け見守りサービス「TONEファミリー」など、トーンモバイルのサービスを利用可能にした。
同日、フリービット本社で開催された会見に、フリービット代表取締役社長兼トーンモバイル代表の石田宏樹氏と、フリービットTONE事業本部本部長の工藤陽介氏が登壇し、サービスと発表内容を説明した。
トーンモバイルの欠点払拭、TONE IN戦略とは
トーンモバイルは子どもやシニアの世代に特化したMVNOサービスで、独自の見守りサービスやシンプルな料金プランを訴求している。2024年3月現在、フリービットグループ会社のDTIがサービスを提供している。
2021年12月22日にドコモの「エコノミーMVNO」への参画を果たして以降、TONEファミリーを合わせて契約すると、親の端末から子どもの見守りやアプリの制御を行えるなど、さまざまなサービスが盛り込まれた「TONE for iPhone」を提供している。
そのサービスのいわばAndroid版に相当する「TONE for Android」の提供が2024年2月16日に始まった。主に子どもをターゲットとしたTONE for iPhoneのよさはそのままに、シニアユーザーにも訴求している。
一方で、利用できる端末が限られており、既にキャリア向けに販売されたAndroid端末を持っている人も、TONE for iPhone/TONE for Androidを利用するにあたって、トーンモバイルの独自端末を新たに購入する必要があった。
そうしたデメリットを極力払拭すべく、TONE IN戦略では、次期中期経営計画「SiLK VISION 2027」の主要テーマである5G/web3の“社会実装”に向けて、トーンモバイルで培った5G/web3時代を見据えた技術やサービスを、自社以外のスマートフォンを含む幅広い機器で展開していく。
工藤氏によると、今回の取り組みは、2024年2月1日にテストマーケティングを開始し、従来のTONE for iPhoneに加え、ドコモが2021年以降に取り扱っているAndroid全機種での検証が完了したため、正式提供に踏み切った。申込受付は全国のドコモショップ、カメラのキタムラ一部店舗、オンラインで行う。動作検証に当たってはドコモから多数の端末を借り、トーンモバイルのサービスが動作するかどうかを丁寧に検証したという。
あわせて、端末で行う初期設定を簡易化し、誰でも扱えるようにした点もアピールする。「Play ストアからアプリをインストールした後、基本的には3つのステップで終わるようになっている。利用規約に同意し、APN設定をして、SMS認証をすれば完了する」(工藤氏)
テストマーケティングでは、いくつか分かったことがあったという。「ファミリーオプション」という見守りのサービスは、月によっては子ども世代が「ほぼ100%設定するようになった」ことや、「子どもではない成人(大人)にも支持されるようになった」ことの他、次のようなことも把握できたと工藤氏は話す。
- いつでもカエドキプログラムなどで安価な端末をさらに安く買いたい人が多いこと
- 契約時はサービスの利用については未定で、その後、トーンモバイルをミッドレンジの人気端末で利用していること
工藤氏はドコモの売れ筋端末でトーンモバイルのサービスが使われるようになったことも明かした。ドコモショップでトーンモバイルを申し込む際、どのような端末が同時に購入されているのか、というと、「最も多いのがXperia Ace III、次いでGoogle Pixel 7a」(工藤氏)だった。「arrows WeやAQUOS wishなどのお手頃価格の端末」も選ばれやすいという。
TONE for Androidにおける端末の同時購入と、持ち込みの比率にも違いが出たという。TONEオンラインストアでの契約(ユーザーが用意した端末を契約)が100%、ドコモショップで契約する際に端末を購入するのが54.3%、ドコモショップに端末を持ち込むのが45.7%と、新規購入に加え、いわゆるおさがり端末の持ち込み需要も「予想以上に高い」ことが分かったという。
ドコモショップでのSIMと端末の同時購入と、ドコモショップへの端末持ち込みは、Xperia Ace IIIやGoogle Pixel 7aが選ばれており、TONEオンラインストアでSIMのみを契約する際もミッドレンジモデルが選ばれる傾向にあるという。
さらに、これまで主なターゲットではなかった、一般的な大人(保護者など)も獲得できるようになったという。
「2021年12月にドコモと新たな取り組みを始めるときに整理したわれわれのターゲット層を振り返ると、われわれが最も強い層が子ども。シニア向けにも健康管理機能や見守り機能を提供している。メインターゲットではない一般的な大人(保護者など)は見守ることを目的にトーンモバイルに参加していた。だが、一般ユーザー(の契約)もかなり取れるようになってきた」(工藤氏)
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