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インタビュー

イオンモバイルが異例の“200GBプラン”を提供する狙い 金融連携サービスも強化で大手キャリアに対抗しうる存在にMVNOに聞く(1/3 ページ)

イオンモバイルが、4月1日に一部料金プランの値下げと大容量プランの追加を行った。「さいてきプランMORIMORI」と名付けられた30GB、40GB、50GBの料金を下げるとのと同時に、60GB以上のデータ容量を選択肢として追加した格好だ。小容量を主戦場にしていたMVNOが、ここまで大きな容量の料金プランを用意するのは異例といっていい。

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 イオンリテールの展開するイオンモバイルが、4月1日に一部料金プランの値下げと大容量プランの追加を行った。「さいてきプランMORIMORI」と名付けられた30GB、40GB、50GBの料金を下げるとのと同時に、60GB以上のデータ容量を選択肢として追加した格好だ。60GB以上は100GBまで10GB刻みで、その後は150GB、200GBと容量が上がっていく。小容量を主戦場にしていたMVNOが、ここまで大きな容量の料金プランを用意するのは異例といっていい。

イオンモバイル
30GB、40GB、50GBのプランを値下げしたイオンモバイル
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60GB〜100GBに加え、150GBと200GBのデータ容量も追加した

 もっとも、大手キャリアの無制限プランや大容量プランとは違い、イオンモバイルの場合、データ容量を家族でシェアする使い方が一般的だという。同社の場合、2枚目以降のSIMカードは音声通話対応の場合でもわずか220円の料金しかかからない。音声通話を利用するための基本料を払うだけでシェアが可能になるというわけだ。4枚目、5枚目は440円かかるが、それでも中容量から大容量のプランを分け合うと、1回線あたりの料金は下がる構造になっている。

 一方で、200GBプランは家族4人でシェアしても、1人あたり50GB。MVNOの中では比較的大容量だ。ahamoなど、大手キャリアのオンライン専用プランよりもアクティブにデータ通信を利用できるといってもいいだろう。中大容量を拡大するイオンモバイルの狙いはどこにあるのか。イオンリテールでMVNO事業を展開する住居余暇本部 スマートライフ統括部 モバイル事業部 イオンモバイル商品グループの統括マネージャー井原龍二氏と、同グループのマネージャー間野耕司氏に話を聞いた。

1GB単価では20GBよりも30GB〜50GBの方が料金が高かった

―― 最初に、30GB以上のプランを値下げした背景を教えてください。

井原氏 もともと20GBを戦略的価格として、安く設定していました。10GBに110円足すだけで20GBになります。それ以上の容量と比較すると、1GB単価では20GBより、30GB、40GB、50GBの方が高くなってしまっていた。複雑そうに見えてシンプルということをうたっていましたが、よくよく見たらこの部分がシンプルではなかったので、料金改定はしたいと思っていました。

 ただ、22年に料金を下げ、23年はそこまで料金で攻められませんでした。単価を下げられるような接続料でもなかった。将来原価方式で今後の接続料は見えているので、ここでなら料金改定を実現できるのではということで、今回、改定することになりました。

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イオンモバイルを率いる井原龍二氏
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データ容量が上がるほど単価を下げるよう調整した

―― その価格改定と同時に、50GBより上のデータ容量を追加しています。これはなぜでしょうか。

井原氏 大容量は、お客さまからのニーズがあったからです。どれだけ使うかは別にしても、他社でも大容量プランは少しずつ出てきています。

―― そのニーズというのは、家族でシェアしたいということでしょうか。

井原氏 はい。大容量は家族でシェアが一番大きいですね。22年度からシェアの構成比が急激に増え、中身を見たら家族でのご利用でした。

2022年度に家族でデータ容量をシェアする利用者が増えてきた

―― なぜ、その年から急に家族利用が増えたのですか。

井原氏 21年度に音声卸の料金に手が入りました。当時(MVNOからキャリアに払う基本使用料が)666円(税別)で、当初、われわれも770円に設定していました。これだと、シェアしないで2回線契約するとの料金は変わりません。この基本料に手が入り、料金が大きく引き下げて、21年度からは220円にしています。これで、圧倒的にシェアで持つ方がお得になり、一気に比率が上がりました。

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契約データ容量が上がるのに比例して、シェアプランの利用比率も上がっている

―― とはいえ、シェアありきという料金設定ではなかったと思います。店頭でも家族での利用を訴求したのでしょうか。

間野氏 店頭の従業員が訴求していく中で、家族であれば「シェアはいかがですか」と言うようにはしていました。従業員が、メリットをお客さまにしっかりお伝えしていました。

井原氏 各社が一番安い料金を打ち出そうとしている中、シェアだと(主回線単独の料金は)どうしても高くなってしまいます。店頭ではどうしても1GBの料金が出てしまうので、そのメッセージが伝わりづらい部分はありました。今は、20GBをメインに訴求したいと考えています。

―― それでもしっかり比率が上がったのは、やはり店舗での営業がしっかり効いていたということですね。

井原氏 それが効いていたのが1つと、他社と違うのはメインの利用者が多いということです。MNP契約率が高く、かつ大手キャリアからの乗り換え率も高い。メイン利用の方は家族で使うことが多く、そこまでリテラシーが高くないことも多いのですが、イオンには家族で来られることが多い。そういったところが、分かりやすかったのかもしれません。

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