新しい「iPad Pro」と「iPad Air」どちらを選ぶ? 実機を試用して分かった“違い” 一新されたMagic KeyboardやApple Pencil Proも試す(2/3 ページ)
まるでiPhoneのようなラインアップになったiPadだが、2022年以来のフルモデルチェンジとあって注目を集めている。そんな新しいiPad Pro(13型)、iPad Air(11型)を、非常に短い期間ながら試用することができた。2機種の違いも踏まえてレビューをお届けしよう。
Magic Keyboardも一新、高級感は大幅アップ
iPad Proは、Magic Keyboardも一新した。既存のものとは互換性がなくなっており、これまでiPad ProやiPad Airを使っていたユーザーも買い替えの必要が生じる。後述するApple Pencil Proも含めてアクセサリーまで全とっかえしなければならないのは、価格はもちろん、エコの観点でも疑問が残るところだが、あえてそれをしただけに完成度は高い。
キーのストロークはこれまでのMagic Keyboardに近く、やや浅めながらしっかり入力した感触を得られる。サクサクと文章を打っていくには、このぐらいの深さがちょうどいいと感じるのは、筆者だけではないはずだ。また、最上段にファンクションキーが加わり、iPad Proをダイレクトに操作しやすくなった。単に機能性が増しただけでなく、角度をつけたときにキーの上部に画面がかかることが少なくなった。
これまでのMagic Keyboardは、全体が樹脂素材で高級感に欠けていたところがあったが、それもキーボード側がアルミ素材になることで改善された。また、見た目やたたずまいだけでなく、耐久性の向上にも期待できる。樹脂はディスプレイを保護しやすい反面、手のひらとの摩擦で汚れが付きやすかったり、破れてしまいやすかったりする。筆者が使い続けてきたMagic Keyboardがまさにそう。その点、新しいMagic Keyboardであれば、より長い期間、クリーンでミニマルな印象が損なわれるおそれが少ないと言えそうだ。
一方で、このMagic Keyboard、本体とカバーが一体となっているだけに、そこそこ重さがある。初代iPad用Magic Keyboard発売時から、なぜかAppleはかたくなに重量を公開してこなかったが、今回もそれは踏襲されてしまった。重さは購入にあたり、非常に重要な情報。本体を軽量化したのであれば、なおさらのこと。こうした情報公開の仕方には、改善を期待したい。
ということで、実際にMagic Keyboardを量ってみたところ、その重さは660g強であることが分かった。12.9型用の旧Magic Keyboardは700gほどといわれているため、本体だけでなく、キーボードも軽くなっている格好だ。本体と合算したときの重量は、約1.24kg。キーボードを装着したまま、PCのように持ち運ぶときには、さらに軽くなったといえる。
スクイーズやバレルロールに対応し、使い勝手が増したApple Pencil
M4搭載iPad Proや、M2搭載iPad Airには、Apple Pencilを充電するためのポートが搭載されているが、これはApple Pencil Pro専用のもの。既存のApple Pencil(第2世代)は、非対応だ。これは、充電の仕様が薄型のiPad Proに合わせて変わったためで、後方互換性はないという。試しに第2世代のApple PencilをiPad Proに設置してみたが、ペアリングはできなかった。
なお、充電をケーブルで行うApple Pencil(USB-C)はそのままiPad ProやiPad Airで利用できる。登場時には、「なぜこのアイテムが今出たの? 意義は? 買う人いる?」といった形で疑問が噴出した製品だったが、まさかワイヤレス充電の仕様が変わる布石だったとは……。とはいえ、ここまでボロカスに言われていたApple Pencil(USB-C)を持っている人は、非常に少ないはずだ。筆者も持っていない。
そのため、ほとんどの人はApple Pencil Proへの買い直しが必要になる。その分、新機能がしっかり入っていて使いやすい。同モデルから握ってメニューを表示する「スクイーズ」に対応した他、ペンにはジャイロセンサーを搭載しており、回転も認識する。これによって、筆をキャンバスに押し当て、ぐるっと回して円を描くことも可能になった。
特に筆者は、スクイーズが便利だと感じた。アプリがどのように実装するか次第にはなってしまうものの、ギュッと握るだけでツールのメニューが表示されることが多く、ペンの移動距離を最小限に抑えられる。例えば、文字の校正をしていたとき、ペンの色を変えるために画面の上までペンを移動させてから戻るといった経験はないだろうか。筆者にはある。
そのため、第2世代のApple Pencilでは、ダブルタップでペンと消しゴムを切り替える機能は頻繁に利用していた。これによって移動距離が最小限になり、思考が中断されづらくなる。ただし、ダブルタップで切り替えられるのはペンと消しゴムといった2つのツールに限定される。スクイーズであれば、ギュッと握ることでより豊富な選択肢のメニューが表示される。これは便利だ。
幸いなことに筆者はこれまでApple Pencilを紛失したことはないが、本体に装着する際のマグネットの力は弱く、少し力がかかっただけで取れてしまう。持ち運びの際に、どこかに落としてしまったという人は少なくないだろう。この問題を解決するため、Apple Pencil Proは「探す」に対応している。スタイラスとしては高額な部類に入るだけに、うれしい新機能といえる。
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