11型「iPad Pro(M4)」を使って実感した快適さと課題 高い処理能力を生かした“提案”が欲しい:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
第3世代でプロセッサが初めてMシリーズになったiPad Proを利用していた筆者は、iPad Airと悩みつつも11型iPad Pro(M4)を購入した。購入から約2週間たっているが、動作の軽快さはもちろん、ディスプレイの美しさや軽さには満足している。一方で、13型のiPad Pro(M4)と比べると、そのインパクトはやや薄れてしまうようにも見えた。
使い勝手が向上したMagic KeyboardとApple Pencil Pro
ただし、先述べたように軽さは体感できる。Magic Keyboardを装着すると、前モデルとの差はさらに広がる。キーボード単体での仕様は以前からなぜか公開されていないが、計測したところ、その重量は580gだった。前モデルまでのMagic Keyboardは600gだったため、こちらも20g軽量化されている。iPad Pro本体との合計では、42gほど軽い。合計すると1kg強。1kg前後の軽量なノートPCに近い感覚で持ち運べる。
また、Magic Keyboardを装着した際の重量バランスが変わったためか、文字通りラップトップ(膝の上)でも使いやすくなった印象だ。iPad側が重すぎて、角度をつけると脚から落ちてしまいそうになるといったことは減ったような気がする。さらにファンクションキーがついたこともあり、角度を最大までつけても、本体が数字キーの上にかぶらなくなった。数字入力の際に指が本体に当たってしまうことが減り、入力の快適さが大きく増している。
表面がアルミニウムになったことで、高級感が上がった上に、耐久性も増しているのは13型iPad Proと同じだ。これまでのMagic Keyboardは、キー側の周囲も外側と同じ素材が採用されていた。他のデバイスが当たっても傷がつきづらいのはメリットだった半面、どうしてもケースの延長線上のような見た目になってしまった上に、長期間使用しているとはがれてしまうこともあった。アルミニウムにしたことで、こうした課題を解決した格好だ。こうした点を踏まえると、11型iPad Pro(M4)と一緒に新しくなったMagic Keyboardも入手しておいた方がいい。
刷新された周辺機器という点では、Apple Pencil Proも購入必須のアイテムといえる。書き心地や充電の簡易さなどは第2世代のApple Pencilと同じだが、ダブルタップしたときにブルっと震えてフィードバックがあるところや、圧力を感知する「スクイーズ」に対応したことで、使い勝手が大きく上がっている。前者に関しては、ペンと消しゴムの切り替えなどに使えたが、第2世代までのApple Pencilには触角へのフィードバックがなかったので、画面を目視する必要があった。
ダブルタップがうまく反応せず、消しゴムのつもりで線をグチャグチャに書いてしまった経験がある人もいるだろう。Apple Pencil Proがブルっと震えることで、こうした失敗はなくなった。また、スクイーズでツールパレットをペン先に開けるのも便利だ。筆者の場合、校正などをするために「Goodnotes」を活用しており、ここでスクイーズが活躍した。
例えば、普段は“赤字”を入れつつ、コメントなどを“黒字”で書き足す場合だ。これまでは画面上部のツールパレットをタップしていたが、書きこむ場所と距離が離れていると、思考が中断されてしまっていた。ペン先にツールパレットを展開できるスクイーズであれば、その切り替えもスムーズだ。ただし、スクイーズに対応しているかどうかは、アプリによって異なる。
Goodnotesの場合も、最新版の「Goodnotes 6」ではツールパレットを開けたが、1つ前のバージョンとなる「Goodnotes 5」では、「戻る」と「進む」のボタンしか表示されなかった。さすがにこれではせっかくのApple Pencil Proが宝の持ち腐れになってしまうということで、有料でアップグレードすることにした次第だ。対応、非対応はアプリ側次第になるため、購入を考えている人は、事前にその状況を確認しておいた方がいい。
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