HAPSとStarlinkの違いは? Space Compass堀茂弘氏が説明、「勝ち負けではない」との持論も
日本電信電話(NTT)の島田明社長は、日本で2026年にHAPS(High Altitude Platform Station:高高度プラットフォーム)のサービスを提供すると明らかにした。同日の会見で「HAPSはStarlinkに勝てるのか」との質問が出た。Space Compass共同最高経営責任者(Co-CEO)の堀茂弘氏は、「勝ち負けではない。そもそも違うものだと考える」と答えた。
日本電信電話(NTT)の島田明社長は、日本で2026年にHAPS(High Altitude Platform Station:高高度プラットフォーム)のサービスを提供すると明らかにした。同日の会見で「HAPSはStarlinkに勝てるのか」との質問が出た。
それに対し、Space Compass共同最高経営責任者(Co-CEO)の堀茂弘氏は、「勝ち負けではない。そもそも違うものだと考える」と答えた。
HAPSは、地上約20km上空の成層圏を数カ月に渡って無着陸で飛行し、地上への通信・観測サービスの提供を行う無人飛行体だ。Starlinkは、低軌道を周回する人工衛星を使う衛星ブロードバンドサービスだ。
堀氏は「それぞれに役割がある」と前置きした上で、「HAPSはカバレッジでは衛星に勝てないが、カバーした対面積あたりのキャパシティでは、高度400〜2000kmの低軌道衛星(LEO)よりもHAPSの方がスマートフォンダイレクトアクセス(直接通信)において有意になる」と持論を述べた。
他にも大きな違いとして、HAPSは航空機などを基地局のように運用して成層圏からエリア化を図る高高度プラットフォームであるため、Starlinkで必要になるアンテナが不要なことなどが挙がる。
HAPSやStarlinkで期待できることとしては、災害時や障害時の通信手段として使えることに加え、上空から日本全土をカバーすることで、従来の基地局ではカバーしきれなかった島しょ部や山間部を含めたエリアの拡張となる。ただ、いずれもすぐにカバーの圧倒的な広さを体感できるわけではなく、状況に応じて活用するようなイメージだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
日本で2026年にHAPSサービスを提供へ NTTドコモ、Space Compassらが発表
NTTドコモとSpace Compassは、エアバス・ディフェンス&スペース、AALTO HAPS Limitedと、HAPSの早期商用化を目的とした資本業務提携に合意した。各社が6月3日に発表した。日本で2026年にHAPSサービスを提供する。
NTT、宇宙ビジネスのロゴ発表 「新たに89個目の星座を作っていく」と島田明社長
日本電信電話は6月3日、宇宙ビジネス分野におけるブランド「NTT C89」を発表した。NTTは、宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想の実現に向け、注力領域を定めて事業開発を加速したい考えで、NTTグループにおける宇宙関連事業の拡大と、宇宙産業全体の発展に貢献するとしている。
衛星通信やHAPSは非常時の通信手段になり得るのか 検討会で挙がった課題
「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会(第4回)」では、ローミング以外で通信手段を確保する方法が議題に挙がった。4キャリアは、成層圏からエリア化を図るHAPSによる通信や衛星通信のサービスを推進している。検討会での焦点になっている緊急通報については、課題が残されている。
NTTら4社、スマホとHAPSの直接通信に向け研究 超高速化技術も開発
Space Compass、NTTドコモ、日本電信電話(NTT)、スカパーJSATは、成層圏を飛行するHAPSとスマートフォンの直接通信の早期実用化に向けて、システムの開発を加速していくと発表した。合わせて、実用化後の利用拡大を見据えた超高速化技術の研究開発を始めた。
ドコモ、エアバスなど3社とHAPSの実用化に向けた研究開発を推進
ドコモがエアバス、NTT、スカパーJSATと共に成層圏を飛行する通信プラットフォーム(HAPS)の研究開発や実証実験を行うための覚書を締結した。4社は「宇宙RAN」と称する宇宙空間を用いた通信システムを構築するため、実証実験などを行う。



