「iPadOS 18」発表、手書き対応の「計算機」導入 Apple Intelligenceで文章作成もはかどる
Appleは6月11日(日本時間)、「iPadOS 18」を発表した。iPadとして初めて計算機アプリが導入されたほか、新機能「Apple Intelligence」により文章作成や画像生成をアシストするAIが利用できるようになる。
Appleは6月11日(日本時間)、iPadOS 18を発表した。iPadとして初めて計算機アプリが導入されたほか、新機能「Apple Intelligence」により文章作成や画像生成をアシストするAIが利用できるようになる。
「計算機」アプリがiPadに登場 計算メモを搭載
iPhoneでは当初から存在したアプリのうち、iPadに存在しなかったアプリがある。それがついに、導入されることになった。
「計算機」アプリ、つまり電卓だ。基本的な算術計算と、科学技術計算が行える。単位変換機能も備えており、長さや重さ、通貨などの単位を換算できる。また、数式の履歴機能を提供するなど、強化がなされている。
さらに、計算メモという機能が追加された。計算メモは、手書き入力した数式に対して、瞬時に答えを表示するツールだ。紙のノートに数式を書く感覚で記述すると、その答えが表示されるという機能だ。数式を書き足していくと答えは対応して変化する。例えば分数にしたり、cos記号を書き足したりすると、その結果に応じて表示される数式が変わる。
変数の代入にも対応していて、手書きで書いた数式のグラフを表示することも可能だ。また、計算メモは、計算機アプリの他、メモアプリからもアクセスできる。
手書き入力を読みやすくする機能
メモアプリの手書き入力機能は、スマートスクリプトという新機能で読みやすくなる。個人差のある文字のゆがみや傾きを補正して、読みやすいきれいな文字にできる。さらに、後から書き足したい場所が増えた時には文字をずらして空白を作ることもできる。また、筆致をまねて、入力した文字を手書きとしてペーストする機能も備えている。
写真アプリはデザインを一新
写真アプリは、これまでで最大のアップデートとしている。写真を自動で整理する機能が強化されて、人物毎、ペットごとの写真や、出来事に関連した写真を一覧で表示できるようになった。ファーストビューはカルーセル表示で、iCloudの写真全体から毎日異なるハイライトを自動で表示するようになっていて、過去の写真を再発掘できる。
Safariが高速化、Web情報の要約も
ブラウザのSafariは、情報を集約する機能が再設計された。「ハイライト」機能は、ページごとに異なる重要な情報を素早くピックアップするための機能だ。例えばホテルのWebサイトでハイライトを表示すると、マップ上でのホテルの情報が表示される。Webニュースサイトを開いた場合は「要約」ウィンドウとして、記事の内容をまとめたものが表示される。
ダークモードのアイコンなど、ホーム画面カスタマイズ
ホーム画面のカスタマイズに自由度が高まっている。アプリのアイコンにはダークモード版が提供される。また、ハイライトカラーを選んで、アプリのアイコンやウィジェットを同じトーンにそろえることもできる。
コントロールセンターは設定できる項目が大幅に増える。操作をまとめた画面をグループとして、複数のグループを配置できるようになる。サードパーティーの開発者もコントロールセンターを使えるようになる。
また、一部のアプリでUI(ユーザーインタフェース)が若干変化する。フローティング表示されるサイドバーから、よく操作する項目を「タブバー」に保存できるようになる。例えばApple TVアプリでは、良く視聴するチャンネルをタブバーに登録できる。このタブバーのデザインは、OfficeSuiteの「Keynote」「Numbers」「Pages」や、「Swift Playground」アプリでも実装される。
生成AIベースの「Apple Intelligence」に対応
M1以降のiPadでは、生成AIベースのApple Intelligenceが利用できるようになる。このうち注目はSiriの強化だ。「昨日母に送ったメールの写真を再生して」といったユーザーの文脈を理解した質問に答えられるようになる。
OpenAIとのパートナーシップによって、ChatGPTとの統合機能も提供する。SiriなどからChatGPT(GPT-4o)に聞くことができる。OpenAIのアカウント作成なしで利用でき、無料で提供される。
また、文章作成ではWriting Toolsという機能が利用できる。文章を読み手の立場に合わせて「フレンドリー」や「プロフェッショナル」といった文体に変換する機能や、スペルチェックが含まれる。さらに、メールの返信文面を手軽に作成する機能も備える。
その他、絵文字を画像合成する「Genmoji」や、簡単に画像生成できるツールImage Playgroundも用意する。
なお、Apple Intelligence機能は当初は米国英語から順次展開される予定となっており、その他の言語は2025年以降となる。
iPadOS 18の対応機種
iPadOS 18の対応機種は以下の通り。
- iPad Pro(M4)
- iPad Pro 12.9型(第3世代以降)
- iPad Pro 11型(初代以降)
- iPad Air(M2)
- iPad Air(第3世代以降)
- iPad(第7世代以降)
- iPad mini(第5世代以降)
Apple Intelligenceについては、M1以降のプロセッサを搭載したiPadが対応機種となる。
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