新しい「iPad Pro」を手にして分かったeSIMのメリットと課題 iPhoneのeSIMオンリーは時期尚早か(1/3 ページ)
タブレット端末を「12.9型iPad Pro(第4世代)」から「13型iPad Pro(M4)」に変更した。有機ELディスプレイにより薄型かつ軽量になったが、SIMカードの抜き差しはできず、eSIM(内蔵)にしか対応しない。新型iPad Proで実感したeSIMのメリットと課題を整理したい。
とにかくディスプレイが大きく、薄いタブレットがほしい。そんな理由から新しい「13型iPad Pro(M4)」を購入した。これまで筆者は「12.9型iPad Pro(第4世代)」で原稿を書き続けたが、キーボード(Magic Keyboard)と組み合わせると、1kgを超える重量になり、肩への負担を感じていた。別モデルの買い替えを検討していた矢先に、新型iPad Pro発表のニュースが飛び込んできた。
新型iPad Proは、Appleが5月8日(日本時間)に発表したタブレットで、フルモデルチェンジと呼べるほど全面的に機能を刷新している。有機EL(OLED)を2枚重ねた「タンデムOLED」を採用し、薄型かつ軽量になったことや、ディスプレイの制御などを実行するためのM4チップを搭載するなど、これまで以上に注目ポイントが多い。詳細は既に記事を掲載しているので、そちらにご覧いただきたいが、筆者が注目したのはiPadで使えていた物理SIMに対応しなくなったことだ。
- →11型「iPad Pro(M4)」を使って実感した快適さと課題 高い処理能力を生かした“提案”が欲しい
- →新しい「iPad Pro」と「iPad Air」どちらを選ぶ? 実機を試用して分かった“違い” 一新されたMagic KeyboardやApple Pencil Proも試す
購入後に初期設定をする際、SIMもいつものように差し替えれば済む、と思ったそのときだった。新型iPad ProにSIMスロットがなく、SIMの移行がいつもの差し替えだけで済まない、と実感した。
もちろん、新型iPad Proで物理SIMが使えないことを知ってはいたが、いざ目の当たりにすると、旧世代iPad Proとのギャップがあり過ぎて戸惑う。そう、新型iPad ProはeSIMにしか対応しない。eSIMは、物理SIMのように差し替えなくても、ネットワーク経由で契約者情報(プロファイル)を書き換えたり、プランを変更したりできるのが特徴だ。
物理SIMに対応しないiPad Proで、これまで通りモバイルデータ通信サービスを利用するには、物理SIMからeSIMへの移行作業が必要となる。
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