新しい「iPad Pro」を手にして分かったeSIMのメリットと課題 iPhoneのeSIMオンリーは時期尚早か(2/3 ページ)
タブレット端末を「12.9型iPad Pro(第4世代)」から「13型iPad Pro(M4)」に変更した。有機ELディスプレイにより薄型かつ軽量になったが、SIMカードの抜き差しはできず、eSIM(内蔵)にしか対応しない。新型iPad Proで実感したeSIMのメリットと課題を整理したい。
物理SIMからeSIMへはどのように移行するのか 新型iPad Proで手順を確認
ここからは、肝心の手順について確認しながら、eSIMオンリーになったiPad Proで実感したeSIMのメリットと課題をお伝えしたい。なお、今回は、筆者が使っているauの「タブレットプラン3」(月間データ容量3GBで1100円/月)を例に、手続きの手順を見ていく。
簡単な概要は「SIM(SIMカード/eSIM) :機種の変更/eSIM再発行のお手続き」というページに記載がある。手数料は「現在契約中の回線種別(4G/5G/5G SA)のまま手続きする場合」が無料となる一方で、「現在契約中の回線種別と異なる回線種別へ変更する場合」が3850円(税込み)となる。受付時間は1時〜2時、7時〜23時。システムメンテナンスなどを除く時間帯なら手続きが可能だ。
これまで筆者が使っていたiPad Pro(第4世代)の12.9型はLTE対応なので、「au Nano ICカード 04/04 LE」のSIMを挿入できる。そして、今回、新たに購入したiPad Proの13型は5G SAと5G NSAという通信規格に対応し、物理SIMではなくeSIMのみを利用できる。この情報はSIM(SIMカード/eSIM)の中の「動作確認端末一覧」にて確認できるので、事前に調べておくとよい。
自分の持つ端末がどの通信規格やSIMに対応するのかは、KDDIが公表している「動作確認端末一覧」で確認できる。iPad Pro(第4世代)から新型iPad Proへ移行すると、eSIMへの変更手続きが必要となる
My auで行う場合
My auから手続きを行う場合は、My auにログインした後、「eSIM再発行手続きサイト」から再発行後に利用する端末の「契約回線種別」を選択し、「次へ」をタップする。次に希望する料金プランと通話オプションを選択し、「同意して次に進む」をタップする。次の画面で契約内容を確認した後、「eSIM再発行を申し込む」をタップすると、再発行手続きが完了する。
この後、KDDIが発行したプロファイルを新しいiPad Proにダウンロードし、開通作業を完了させる必要がある。プロファイルはeSIMに対応したサービスを利用するための契約回線、電話番号といった加入者情報が書き込まれたもので、これを端末側にダウンロードしなければ通信ができない。そのため、ほとんどのキャリアがこのプロファイルをインストールするためのQRコードを用意しているが、スマートフォン以外のデバイスがなければQRコードを表示して、それをスマートフォンで読み込むことができない。
auショップで行う場合
eSIMの手続きに不安を覚えるなどの理由でためらう人は、面倒だがauショップへ出向けば、サポートを受けられる。
まずは店舗へ出向き、店舗スタッフに「iPad Proで使うeSIMを発行したい」と伝える。店舗では重要事項の説明を受け、契約前の確認事項を店頭のタブレットで確認してから、eSIMの発行手続きへ推移する。
My auと大きく異なるのは、利用者自身でMy auから手続きせず、店舗スタッフが利用者情報を確認した上で、プロファイルを発行すること。店舗スタッフは契約者本人かどうかや利用する端末の確認を対面で行うため、店頭での手続きを希望する際は本人確認書類と利用予定のeSIM対応端末を持参しよう。
店舗スタッフがプロファイルを発行したら、利用者自身が持参したeSIM対応端末を店舗スタッフの指示に従い操作する。プロファイルを読み込ませる手順はMy auの場合と同じだ。
「モバイルデータ通信」→「新規プランを追加」→「QRコードを使用」の順に進み、店舗スタッフが店頭のタブレットで提示したQRコードを利用予定の端末のカメラで読み込む。すると、画面が切り替わるので、「続ける」をタップ。しばらく待つと、「モバイル通信設定完了」と表示されるので、最後に「完了」をタップする。
AppleのeSIMクイック転送
SIMカードからeSIMへの変更は、上記よりも簡単に行う方法がある。Appleの「eSIMクイック転送」だ。auのWebサイトには「対象のお客さま:現在お持ちのiPhone・iPadで、SIMカードを利用していたが、eSIMに変更したい」と記載されている。SIMカードからeSIMへの変更時にも、このeSIMクイック転送が可能だ。
eSIMクイック転送は、「手続きのためにショップへ出向かずに済む」こと、「eSIM用のプロファイルをダウンロードせずに済む」ことが大きなメリットだが、古い端末と新しい端末が両方とも手元にある状態で、転送しなければならないため、例えば、古い端末の売却を購入前に済ませ、その売却額を元手にして、新しい端末を購入する人にとっては、eSIMクイック転送の恩恵を受けられない。
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