ドコモは通信品質をどう立て直すのか 前田新社長が語る「品質ナンバーワン」への方策(2/3 ページ)
6月14日に、前田義晃氏がNTTドコモの代表取締役社長に就任した。6月18日の記者会見で前田氏が今後の経営方針や注力していく分野を語り、記者からの質問に答えた。前田氏は「当事者意識」「リスペクト」「チャレンジ」の3つを方針に掲げる。
通信料収入はどう上げるのか、金融・決済分野は銀行業にも意欲
―― ARPUが下がっているが、通信料収入はどう上げていくのか。
前田氏 しっかり上げていきたい。昨年度はirumoやeximoをやらせていただいたが、irumoは低料金なので、ここでシェアを拡大したい。シェアの拡大は当たり前だが重要で、通信料収入を上げるのにも効くが、新しい分野での売り上げを積み重ねるにも顧客基盤が必要になる。さまざまなお客さまの使い方に対応する料金プランを、しっかり提供しなければならない。irumoをご支持いただき、低容量プランに多くの方が入ればシェアに対してはプラスになるが、結果としてARPUは低下傾向になる。
通信サービスの収入も上げたいが、それ以外も上げる。基本的にはこういう戦略。irumo、ahamoに入った方が「爆アゲ セレクション」のようなものをお使いいただくと、APRUが上がったり、そこからさらに上のプランに入っていただけることもある。
金融連携しているポイ活プランもある。どちらかといえば、決済サービスをお使いになったり、ポイントを多くためたりしている方に支持していただけているが、これは当たり前。ただ、メリットをご理解いただけた方の中には、これまでお使いでなかったドコモの決済サービスを使う動きもあることが見えている。こういったところからも、通信ARPUを上げる取り組みは続けていきたい。
―― 金融サービスについて、競合他社は銀行を持っている。ドコモはどうするのか。
前田氏 金融領域で事業を進めてこられたと思っており、非通信領域の推進役にもなっている。一番伸ばせているのは決済分野。dカード、d払いは全体の取扱高も伸ばしており、昨年度に関しては13.1兆円。18%ぐらいの成長をしている。PayPayはカードとコード決済の両方でお話をしているが、同じぐらいのレベルで競争をしている。昨年度は投資もやらせていただいた。
銀行口座は大変重要な機能。お客さまからお支払いいただく際の機能もそうだが、加盟店に対して決済していただいたお金をお振込みさせていただくのも重要で、われわれとしては必要な機能。ここには、いくつかの選択肢がある。
現状はMUFGと提携しているが、パートナー提携するのが1つ。昨年度(子会社化したオリックス・クレジットやマネックス証券)のように、ある種のM&Aもある。最難関だが、自分たちで立ち上げるやり方もある。さまざまな検討を進めているので、お知らせできるタイミングが来たら発表したい。
―― 生成AIにはどう取り組んでいくのか。
前田氏 AIの活用はどんどん進めていきたい。コンシューマー向けに関しては、PixelやGalaxyなど、複数の機種が生成AIに対応し、画像編集や検索をより便利にご利用いただけている。これ自体は、これからも進めていきたい。ここに搭載されているAIは各メーカーが中心になって対応しているものだが、さまざまなパートナーと連携しながら提供したい。
法人に対してもそうで、ソリューションに力を入れて進めていきたい。グループ全体では(NTTが開発したLLMの)「tsuzumi」を成長させることに取り組んでいる。まだまだこれからだが、がんばっていきたい。
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