IIJmioで“長期利用特典”を提供 「スマホ割引」「家族割引」「データ追加」を重視した狙い
IIJmioでは、長期利用者向け優待プログラム「IIJmioご愛顧感謝特典」を6月21日から提供する。「mio優待券」では、対象スマートフォンを単体購入する際に端末代を割り引く。複数回線を契約すると、1回線あたり100円割り引く「家族割引」も提供する。
IIJ(インターネットイニシアティブ)が6月20日、MVNOサービス「IIJmio」の長期利用者に向けた優待プログラム「IIJmioご愛顧感謝特典」を発表。6月21日から提供する。
端末割引の「mio優待券」 まずは3メーカーの購入履歴があるユーザーが対象
IIJmioご愛顧感謝特典では、IIJmioを長く利用している「ギガプラン」契約者に向けて、3つの特典を用意する。
1つが「mio優待券」。IIJmioの契約年数に応じて発行されるもので、対象スマートフォンを単体購入する際に端末代を割り引く。IIJmioではMNPを対象としたセールを定期的に実施しているが、mio優待券は既存ユーザー向けの施策となる。
第1弾として、IIJmioサプライサービスで直近に購入したスマートフォンがOPPO、モトローラ、Xiaomiのユーザーを対象とする。割引対象モデルはOPPOの「OPPO Reno11 A(SUPERVOOC急速充電器SET)」、モトローラの「moto g64 5G」、Xiaomiの「Redmi Note 13 Pro+ 5G」の3機種。OPPOユーザーならReno11 Aという具合に、直近で購入した機種と同じメーカーのものを購入できる。
割引金額は利用期間によって異なるが、IIJ MVNO事業部 コンシューマサービス部長の亀井正浩氏によると、数千円単位の割引になるという。対象ユーザーについて明確な線引きはないようだが、1年〜3年前ほど前に対象機種を購入した人に優待券を配布するという。現在は3メーカーのみだが、他のメーカーについても拡充していく予定だ。「第1弾で、どれくらいの人が使うかによって、次のアクションも変わる」(亀井氏)
mio優待券の狙いは、既存ユーザーが2台目のスマートフォンを購入したり、機種変更したりする際のハードルを下げることにある。IIJmioでは2023年度に160種類の端末を販売し、端末申込数は堅調に伸びているが、単体購入は22%、複数台の購入は13%にとどまっている。そこで、既存ユーザーに対して優待券を配布することで、単体や2台目の購入増を狙う。その結果、「機種変更時に回線契約を変えることのストッパー」(亀井氏)になり、解約率低下につなげたいと考える。
1回線あたり100円割引の「家族割引」 キャンペーンから通常施策に
2つ目の施策が「家族割引(複数回線割引)」。同一mioIDでギガプランの音声SIMまたは音声eSIMを2回線以上利用しているユーザーを対象に、月額料金から1回線あたり100円(税込み、以下同)を割り引く。こちらは2024年秋の提供を予定している。
この施策は2024年6月3日までキャンペーンとして展開していたが、「一定の効果があり、複数回線への切り替えや追加を促せた」(亀井氏)ことから、恒常的なサービスにアップデートする。
IIJmioのギガプランでは、同一mioID間でデータ容量をシェアできる「データシェア」が利用可能だが、データシェアは年々増加傾向にある。さらに、ギガプランの音声SIM契約者のうち、4人に1人が複数回線を利用しているという。家族割引を提供することで、データシェアや家族での契約を増やしていく狙いも見える。
機種変更や回線増加をサポートする長期利用特典も
3つ目の施策「長期利用特典」は2024年冬の提供を予定している。IIJmioのギガプランで音声SIMまたは音声eSIMを利用しているユーザーを対象に、データ容量プレゼント、SIM発行手数料無料、初期費用割引の特典を提供する。
特典は利用期間によって異なり、詳細は以下の通り。
- 利用期間が13カ月〜24カ月の場合……1GBデータ量を年3回プレゼント、SIM交換・再発行手数料(2200円)を年1回無料、初期費用から1100円割引(年1回)
- 利用期間が25カ月〜36カ月の場合……1GBデータ量を年4回プレゼント、SIM交換・再発行手数料(2200円)を年1回無料、初期費用から1650円割引(年1回)
- 利用期間が37カ月以上の場合……1GBデータ量を年5回プレゼント、SIM交換・再発行手数料(2200円)を年1回無料、初期費用から3300円割引(年1回)
データプレゼントは、月末にデータが足りないユーザーの応急チャージに応えるもの。SIM発行手数料無料は、機種変更に伴いSIMの変更が必要になる場合にサポートするもの。初期費用割引は、家族や自分の回線を追加する際にサポートするもので、複数回線契約のハードルを下げる狙いがある。
オプション無料よりも「スマホ値引き」「データ追加」の方が需要あり
IIJmioでは、旧プランでIIJmioを2年以上利用している人を対象に「IIJmioプレミアム特典(長得)」を提供しており、対象のオプションサービスのうち1つが無料になる、データ容量1GB×3枚のクーポンを毎年プレゼントする、といった特典を受けられる。2019年の電気通信事業法の改正で長期利用特典が制限されたこともあり、ギガプランでは同様の特典は提供していなかったが、2023年末のガイドライン改正によってIIJが規制対象外になったことから長期利用特典が復活した。
今回のご愛顧特典ではオプションサービス無料は含まれていないが、「クーポン(データ容量)を追加する使い方が多く、スマホを買うときに直接メリットがある方がいい」(亀井氏)と考え、端末割引やデータ追加に重きを置いた。
IIJmioではMNP限定セールを実施しており、既存ユーザーに向けた割引を拡充するとなると、業績に与える影響が懸念されるが、今回は「直近で3メーカーの購入履歴がある長期ユーザー」に絞っていることで、ある程度母数が想定できるようにしている。mio優待券で解約率を低減できれば、長い目で見て業績にはプラスになると判断した。
IIJmioでは2024年3月にギガプランで30GB、40GB、50GBの大容量帯を追加したところ、20GB以上の申込数が2023年と比較して1.7倍に増加したという。また20GB以上のプラン契約者は全体の約10%にまで増加した。「予想より多くのユーザーが大容量プランに移行している」(亀井氏)そうで、ARPUの増加も見込んでいる。こうした状況からも、割引拡大に踏み切った側面があるといえる。
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