ahamoがデータ容量を20GBから30GBに増量――MVNO業界にahamoショック再び:石川温のスマホ業界新聞
NTTドコモのオンライン専用プラン「ahamo」が、10月から月間の高速データ通信容量を20GBから30GBに増量する。料金据え置きで10GB増えるということで、MVNOは対応を迫られそうだが、魅力的がゆえにドコモ自身の首を絞めることになる可能性も否定できない。
2024年9月12日、NTTドコモはahamoのデータ容量を10月1日から月間20GBから30GBに増量すると発表した。単なる「報道発表」でしか流されていないが、業界的には「第2のahamoショック」というべき、インパクトの大きいニュースであった。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2024年9月14日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
先日、HISモバイルが新料金プランを発表したが、その際の説明として「20GBでは足りないユーザーが増えている」とのことであった。そこでHISとしては30GBプランを新設。2970円でデータ容量30GB、音声通話は6分以内というのが特徴であった。
30GBはMVNOのなかでもひとつのトレンドになりつつあったが、ahamo自身が「20GBでは足りない」というユーザーを自らかっさらいに行った格好だ。
povoは1年など長期間のトッピングを組み合わせることで、一月あたりの通信料金の負担が安くなるという設計が多い。先日、家族のトッピングを365日間で180GB、2万2200円で購入したばかりであったが、ahamoのデータ増量で各MVNOやサブブランドでも改定がはいりそうなだけに、長期間の契約は避けた方がいいのかもと思い始めてしまった。
ahamoのデータ増量はahamoユーザー、さらに他のMVNOやサブブランドユーザーにとっては喜ばしい限りだが、NTTドコモに対しては「本当に大丈夫なのか」と老婆心ながら心配になってくる。
そもそも、ahamoはNTTドコモにとっては大盤振る舞いな料金設定だっただけに「いかにARPUを上げるか」が経営課題となっていた。そのための80GBをプラスする「ahamo大盛り」や「ahamoポイ活」だったのだろうが、20GBから30GBに増えてしまったことで、かなりのユーザーがahamo大盛りを利用しなくなってしまうのではないか。
また、当然のことながらデータ使い放題の「eximo」から「ahamo」に切り替えても収まるユーザーもいそうなことを考えると「料金そのままでの増量」は本当に経営判断として正しかったのか。
NTTドコモとしては、安価な料金プランである「irumo」にユーザーが殺到するのを避けようと、ahamoを強化し、集客につなげようとしたのかも知れないが、eximoと大盛りユーザーが減ってしまうほうが大きいような気がしてならない。
個人的にはせっかく「ahamo大盛り」という名称があるのだから、基本プランの20GBに10GBを追加する「ahamo小盛り」とか「ahamo中盛り」とか、20GBをさらに追加する「ahamoおかわり」みたいな親しみやすいトッピングをつくって、ARPUを上げていく方向を模索してほうが良かったのではないか。
海外ローミングが30GBも使えてしまうahamoは自分にとっても最強のプランになってきているだけに、少なくともeximoには当面、移行することはなさそうだ。
© DWANGO Co., Ltd.
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