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災害に備えて「ソーラーパネル」でスマホを充電してみた モバイルバッテリーの選び方も解説(3/3 ページ)

災害時にはスマートフォンが主な情報収集の手段となる。そんな非常時の電源確保は防災対策で欠かせない。筆者が非常用持ち出し袋の見直しを行う中で選んだ、ソーラーパネルとモバイルバッテリーについて紹介する。

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ソーラーパネルは20Wでも実用的、充電規格がボトルネックに

 ソーラーパネルについては、9月の秋晴れの日に1時間ほどテストを行ってみた。使い方は簡単だ。直射日光の元で広げて5秒ほど置き、スマホやバッテリーとケーブル接続するだけでよい。日差しが十分であれば、充電が進む。

 「Google Pixel 9 Pro」と接続してUSB電流電圧チェッカーで計測したところ、FlexSolar 20Wソーラーパネルは最大で8.2Wの出力を記録。これは定格の41%程度だが、スマートフォンの充電には十分な電力だ。

ソーラーパネル
Pixel 9 ProにはBCP 1.5Aの上限に相当する7.5Wで給電された

 ソーラーパネルの実力をフルに発揮できてないのは、スマートフォンとの接続がUSB規格のBCP 1.5Aで行われているため。モバイルバッテリーとの組み合わせでも充電速度は若干落ちるが、実際の防災用途では大きな問題にならないと判断した。

 充電開始時は4.8Vほどだった電圧は、すぐに5V付近で安定した。電流は最初1.7A程度と高めだったが、充電が進むにつれて徐々に減少し、1時間後には0.4A程度まで低下した。これは典型的なリチウムイオンバッテリーの充電パターンだ。

ソーラーパネル
Pixel 9 Proを1時間で59%→69%まで充電できた

 バッテリー残量59%から充電を開始し、1時間の充電でスマートフォンのバッテリー残量は69%まで上昇した。この間、ソーラーパネルは約1.275Ahの電流を供給し、総エネルギーは約6.076Whだった。このペースで充電を続けた場合、1万2000mAhのモバイルバッテリーは単純計算では約9時間25分(565分)で充電が完了することになる。

ソーラーパネル
晴れた日の給電結果。ソーラーパネルは安定した出力を維持し、規格上の最大電力を記録。スマートフォンの充電に十分な性能を示した

 しかし、実際の充電時間はこれよりも長くなる可能性が高い。日射量の変化や気温などの環境要因、モバイルバッテリー自体の充電効率(通常80〜90%程度)、そして充電終盤での充電速度の低下などを考慮する必要があるからだ。これらの要因を踏まえると、実際の充電完了までの時間は12〜14時間程度と見積もるのが妥当だろう。

 つまり、晴れた日であれば、朝から夕方までの日照時間内で、このソーラーパネルを使って1万2000mAhのモバイルバッテリーを満充電にできる可能性が高い。これは災害時の電源確保という観点から見ても、十分に実用的な性能といえる。

曇りの日でも日差しが出ていれば使える

 曇り空の日でも検証を行ってみた。晴れの日と比べると充電性能は落ちるものの、それでも十分に実用的な結果が得られた。10時台の1時間の充電で約0.71Ahの電力を供給し、総エネルギーは約3.35Whだった。これは晴れの日の約55%の性能だが、災害時の緊急用電源としては十分な出力といえる。

 充電中の電流値は大きく変動しており、これは雲の動きによる日射量の変化を反映していると考えられる。それでも電圧は安定して約4.7V前後を維持しており、ソーラーパネルの制御回路が適切に機能していることが分かる。

 この結果から、FlexSolar 20Wソーラーパネルは曇り空の下でも一定の充電能力を発揮し、災害時や屋外での使用において信頼できる電源となることが確認できた。ただし、晴れの日と比べて充電時間が長くなることを考慮し、可能な限り晴れた日にバッテリーを充電しておくことが望ましい。

ソーラーパネル
電力出力が大きく変動しており、雲の動きによる日射量の変化を反映している。平均して約3.5Wの出力を維持しているため、非常時の電力供給としては十分事足りる

モバイルバッテリーは容量50%程度で保管するのがベター

 今回の検証に合わせて、モバイルバッテリーの適切な保管方法について改めて調べてみたら、意外な発見があった。

 一般的には満充電で保管するのがいいと思われがちだが、実は30〜50%前後の充電レベルで保管するのが最適だという。この範囲なら自己放電を抑えつつ、過充電のリスクも避けられるのだ。また、0度から25度の温度範囲で保管することで、バッテリーの劣化を最小限に抑えられる。

 これらの知見を踏まえ、使用しないときは充電レベルを50%程度に調整し、涼しい場所に保管することにした。

 災害用として保管する上での注意点となるのは浸水への対策だ。ソーラーパネルは防水だが端子部は防水仕様ではない。また、モバイルバッテリーも防水仕様ではないため、非常用持ち出し袋に入れる際は別途浸水対策を行った方がいいだろう。

 また、平時から使用方法に慣れておくことも重要だ。筆者は半年に1回、ソーラーパネルとモバイルバッテリーの点検を行い、実際に充電してみることを決めた。

ソーラーパネル
半年に1回は点検をして、備えておくことにした

 災害はいつ、どこで起きるか予測できない。そんなとき、スマートフォンは私たちの命綱となる。災害情報の収集、家族や友人との連絡、さらにはSNSでの安否確認など、充電されたスマートフォンは現代の防災に欠かせないツールだ。

 だからこそ、その電源確保は最優先事項の1つといえる。本記事で紹介したソーラーパネルとモバイルバッテリーの組み合わせは、この課題に対する効果的な解決策の1つだ。読者の皆さんも、自身の生活スタイルを考慮して、最適な防災グッズを選んでみてはどうだろうか。小さな準備が、いざというときの大きな安心につながる。今日からでも、あなたの防災対策を見直してみよう。

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