ソフトバンクもY!mobile/LINEMOの料金改定で“30G競争”が激化 楽天モバイルやMVNOも対抗必至か:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
10月にデータ容量を20GBから30GBに増量したドコモのahamoに、大手キャリア各社が対抗措置を講じている。ソフトバンクは、サブブランドのY!mobileとオンラインブランドLINEMOの2段構えでahamoやUQ mobile、povo2.0の30GBプランに対抗する。その料金プランの詳細とともに、MVNOも交えて激化する中容量プランの現状を読み解いていきたい。
段階制を撤廃して2970円で30GBを提供するLINEMO、11月から“つなぎ”のキャンペーンを開始
やや条件が複雑なY!mobileに対し、オンライン専用プランのLINEMOは、よりシンプルに30GBプランの料金を引き下げる。LINEMOは、7月に料金プランを改定し、3GBから10GBの「LINEMOベストプラン」と20GBから30GBの「LINEMOベストプランV」を導入していた。2つの料金プランは段階制でLINEMOベストプランVの場合、20GBを超えると料金が上がり、30GBまで利用できる。その際の料金は、3960円だった。
LINEMOは20GBのスマホプラン一本でサービスを開始していたが、LINEMOベストプランVはその上に30GBまでの段階を作った形になる。スマホプランからLINEMOベストプランへの改定にあたり、5分間の音声通話定額もセットになった。一方で、ahamoやUQ mobileが料金据え置きのままデータ容量を30GBに増やしたことで、20GBを超えた際の金額が他社に見劣りしていた。
そこでソフトバンクは、LINEMOベストプランVの料金も改定し、2970円のままデータ容量を30GBに引き上げる。これに伴い、LINEMOベストプランVは再びデータ容量の上限がフラットなプランに戻る格好だ。ただし、11月時点では料金プランそのものを改定するのではなく、あくまで料金プラン改定までのキャンペーンという位置付け。現状実施されているキャンペーンの終了期間をそのまま延長する形になる。
実質的には、ほぼ料金プランを改定したのと同じだが、新規契約と同月中に20GBを超えた際の日割りになる計算には正価である3960円が使われるため、LINEMOベストプランVの料金体系が残されていることが分かる。料金システムなどを刷新するための“つなぎ”に近いキャンペーンといえる。こうした点からも、このキャンペーンがahamoやUQ mobileの30GB化に対抗するため、急きょ実施されたことがうかがえる。
とはいえ、セット割引や期間限定割引でようやく他社と横並びになるY!mobileに対し、LINEMOはシンプルに1人で契約しても料金は2970円になる。国際ローミングなどの条件に違いはあるが、基本的には30GBプランになったahamoと料金は同額で競争力は高まった。それでも、料金改定ではあくまで横並びになったにすぎない。UQ mobileのようにデータ容量をahamoより3GB増やしたり、音声通話定額の時間が10分と長かったりといった差別化の工夫がない点は少々残念だ。
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