NTT島田社長、「現段階でコンシューマー向けの生成AIサービスは考えていない」
日本電信電話(NTT)は11月7日に決算会見を開催。その中で、NTTの島田明社長は「現段階でコンシューマー向けの生成AIサービスは考えていない」との考えを示した。同氏は「生成AIは法人に向くアイテム」との認識を示した。
日本電信電話(NTT)の島田明社長は11月7日の決算会見で、「現段階でコンシューマー向けの生成AIサービスは考えていない」との考えを示した。
コンシューマー向けの生成AIをベースとしたサービスについては、楽天モバイルが10月31日に「Rakuten Link」アプリにチャット形式のAIサービス「Rakuten Link AI」を実装していくと発表した。1回のチャット数の入力上限は50回まで(1回の質問につき500文字まで)という制限付きだが、「Rakuten最強プラン」の契約者なら無料で生成AIを体験できる。
楽天グループの多様なサービスと連携しているのがポイントで、例えば、「楽天市場でおすすめの和菓子」と入力すると、Rakuten Link AIが自動検索でいくつかおすすめの和菓子をピックアップする。「楽天トラベルでおすすめの旅館」という入力に対しては人気旅館を提案し、予約まで支援する。楽天モバイルのデータ使用量や請求なども提示できる。
これを受け、KDDIの高橋誠社長は11月1日の決算説明会の中で、長文のテキストや、画像や動画などを含むメッセージを送受信できるRCS(Rich Communication Services)という規格を例に挙げ、「衛星通信とスマホの直接通信と非常に親和性があるし、RCSとGoogleの生成AIであるGeminiとの親和性もよい」とコメントし、「コミュニケーションサービスにAIをどう組み込んでいくのか、これが次の勝負になるのではないか」との持論を述べていた。
こうした各社の動きから、NTTはどう動くのかも期待されるところだろうが、NTTの島田氏は「生成AIは法人に向くアイテム」との認識を示した上で、「われわれとしてビジネスで展開するかどうかは、現段階で考えていない」とコメントした。
【更新:11月7日16時45分】NTTドコモの決算会見を受け、前田義晃社長による発言を追記しました
NTTドコモの前田義晃社長は「黙っていても各端末に生成AIが活用されたサービスは搭載されていくし、それによってお客さまのスマートフォンの使い勝手自体が向上することは事実。われわれキャリアとしてもそれを後押ししたい」とコメントした。
さらに、前田氏は「(生成AIを)使いやすくしていくようなサービスの導入の仕方はあるはず。まずはそれに関して取り組みたい。サービス側がエージェント的に振る舞い、驚きや便利さにつながる世界がこれから到来すると思うので、われわれのサービスにも生成AIを活用したいのと、われわれのお客さまがお使いのサービスのデータと生成AIを連携させて、個々の方々により適したサービスを提案できるようにしたい」との考えを示した。
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