ZTEがスマホブランドを刷新するワケ 「ダントツで最下位」だった認知度の向上に本腰も、上位モデルに課題あり:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
中国大手メーカーのZTEは、1月14日にnubiaブランドのスマホを2機種発表した。中心に据えたのが、フォルダブルスマホで2024年に発売された「nubia Flip 5G」の後継機にあたる「nubia Flip 2」。ソフトバンク版のZTE端末はこれまでLiberoというブランドで展開していたが、2機種の投入に合わせ、名称をnubiaに統一する。
グローバルでnubia推しになったZTE、日本市場での成果も重視
ZTEがnubiaブランドを全面に打ち出す方向にかじを切った背景には、同社のグローバル戦略の影響もある。もともとnubiaは、ZTEの子会社として発足したNubia Technologyのブランドで、一時は関連会社になって関係が薄くなっていたが、現在では再び子会社となり、“元のさや”に収まっている。現在も、内部ではNubia社としてnubiaブランドを冠したスマホを開発しており、その一部は代理店を務めるFastlane Japanを通じて日本市場にも投入されている。
ZTEがnubia Flip 2やnubia S 5Gを発表した翌日となる1月15日には、Fastlane JapanがNubiaのフラグシップモデルとなる「nubia Z70 Ultra」の投入を発表。1月21日に販売を開始することが明らかになった。さらに、同社はNubiaのゲーミングスマホ「RedMagic」も取り扱っており、その最新モデルにあたる「REDMAGIC 10 Pro」も、1月23日に先行販売を開始する予定だ。
Nubiaが自社の名前を冠したスマホを開発するのはある種当然だが、親会社のZTEも、ブランドを統一するにあたってnubiaブランドの使用を開始する。2024年2月にスペイン・バルセロナで開催されたMWC Barcelonaでは、ZTEがnubiaブランドの大規模グローバル展開を発表。その一環として、ZTEが手掛けたnubia Flip 5Gや音楽特化型端末の「nubia Music」などの複数製品を同イベントで披露している。
こうした拡大戦略を通じて、「ドイツ、イタリアやスペインなどの欧州では、若い消費者に向けて予想外の体験を提供してきた。東南アジア、中東、南米でもユーザーから高い評価を得ている」(ZTE 上級副社長 アジア・独立国家共同体担当 梅中華氏)という。日本にnubiaブランドを導入したのは、このグローバル戦略の一環だ。
中でも、同社は日本市場を重視している節がある。ZTEジャパンの社長、周涛(シュー・トゥー)氏は「日本市場はハイクオリティー名が知れ渡っているので、そこで認知を上げ、近隣の国に参入したい。グローバリゼーションを進める上で大変適している」と語った。
実際、ZTEは初代フリップ型スマホとなるLibero Flipを、MWC Barcelonaのグローバル発表に先立ち、日本で発売。その後継機となるnubia Flip 2も、現時点では日本向けのモデルしか披露されておらず、グローバル版が後を追う状況になるとみられる。nubiaブランドの日本上陸を発表した2024年3月のイベントでは、日本版がベースになってグローバル版が開発されとの発言もあり、日本を中心的な市場と考えていることがうかがえた。
一方で、ブランドを広げていく上での課題も感じた。上記のように、同じnubiaブランドの端末がZTEと代理店の双方から発売されているのは、その1つだ。販売元が分かれているとユーザーに複雑な印象を与えてしまうのはもちろん、ブランドイメージを統一する上でも支障になりかねない。
ZTEとして、ハイエンドモデルをきちんと展開できていないのも、ブランドイメージを確立する際の課題といえそうだ。この点を問われた黄氏は「価格優位性を持った端末をY!mobileで展開しながら、これをベースにして、ソフトバンクブランドにおいても魅力的な製品を投入したい。もう少し価格帯がミドルハイなものも裏で企画している」と明かす。プロモーションの強化に加え、こうした製品を、矢継ぎ早に投入していくことがnubiaの認知度を向上させる鍵になる。
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