「iPhone 16e」は何が変わった? 「iPhone SE(第3世代)」とスペックを比較する
iPhone 16eがiPhone SE(第3世代)から何が変化、進化したのかをまとめる。最も大きな変化は、初代SEから継承していたホームボタンがなくなったこと。ディスプレイ、カメラ、プロセッサの性能も底上げされている。
Appleが2月20日未明(日本時間)に「iPhone 16e」を発表した。製品名からは、「iPhone 16」シリーズの廉価モデルに位置付けられるが、iPhone SEの実質的な後継モデルともいえる。「iPhone SE(第3世代)」が発売されたのが2022年3月なので、実に3年ぶりの廉価iPhoneの登場となる。ここでは、iPhone 16eがiPhone SE(第3世代)から何が変化、進化したのかをまとめる。
ホームボタンがなくなり、生体認証はTouch IDからFace IDに変更
最も大きな変化は、初代SEから継承していたホームボタンがなくなり、2017年発売の「iPhone X」以降のモデルが採用しているジェスチャー操作に変更されたこと。ボタンを押さず、フリックやスワイプによってホーム画面に戻ったり、起動中のアプリを確認したりする形になる。これに伴い、生体認証のTouch IDもなくなり、顔認証のFace IDに変更されている。ホームボタン付きのiPhoneは中古市場で根強い人気を誇るだけに、SEの希少価値が高まりそうだ。
ディスプレイが4.7型液晶から6.1型有機ELに
ディスプレイは4.7型から6.1型に大きくなり、サイズも大型化。幅は67.3mmから71.5mmに、高さは138.4mmから146.7mmになり、小型スマホとはいえなくなった。幅は7.3mmから7.8mmへとやや厚くなった。ちなみにiPhone 16eの本体サイズは「iPhone 14」と全く同じで、iPhone 14の筐体がベースになっているものと思われる。
ディスプレイが液晶から有機ELになったことも大きな変更点だ。コントラスト比が1400:1から200万:1へと大きく上がり、最大輝度も標準で625ニトから800ニトにアップしている。視認性は大きく改善したといえる。
バッテリーの持続時間が向上、MagSafeは非対応
バッテリー容量は公表されていないが、ビデオ再生は最大15時間から26時間に、ビデオストリーミングは最大10時間から21時間に、オーディオ再生は最大50時間から90時間に伸びており、iPhone SE(第3世代)よりもバッテリーで不満を覚えることは少なくなるだろう。
意外なところでは、iPhone 14では対応しているMagSafeに対応していない。ケースやウォレット、卓上ホルダなど、普段使いにも役立つMagSafe対応アクセサリーが増えているだけに残念な点だ。
A18チップ搭載でApple Intelligenceに対応
プロセッサはiPhone 16と同じ「A18チップ」を備える。iPhone SE(第3世代)のA15 Bionicチップと比較すると、CPU性能とGPU性能ともに40%の高速化を果たしており、高負荷のゲームも楽しめるだろう。そして、このチップの恩恵の1つとして、Appleの生成AI機能「Apple Intelligence」にも対応する。
ショートカット操作できる「アクションボタン」を搭載
ハードウェアはiPhone 14に近いと述べたが、14にない機能として、iPhone 15 ProやiPhone 16シリーズが備える「アクションボタン」をiPhone 16eも搭載している。このアクションボタンには、カメラやアプリなど任意の機能を割り当てられることに加え、Apple Intelligenceの「ビジュアルインテリジェンス」機能の呼び出しも可能になる。ビジュアルインテリジェンスでは、カメラを活用し、撮影したテキストを要約してコピー、翻訳したり、動物や植物を撮影して調べたりすることができる。
カメラは1200万画素→4800万画素に ナイトモードにも対応
アウトカメラが広角の1眼のみはiPhone SE(第3世代)と同じだが、画素数が1200万から4800万にアップし、より高解像度の写真を撮影できるようになった。高解像度カメラを生かし、最大2倍の光学ズームにも対応する。動画は4Kドルビービジョンでの録画や、より臨場感のある空間オーディオでの録画が可能になった。iPhone SE(第3世代)では見送られた「ナイトモード」は、静止画と動画両方の撮影で利用できる。
外部接続端子がLightningからUSB Type-Cに
通信機能に関しては、衛星通信を活用した緊急通報サービスが利用可能になった。携帯電話が圏外の場所で遭難するといったトラブルの際に役に立つ。この機能は日本でも利用できる。
外部接続端子がLightningからUSB Type-Cに変更されたのも大きな違いだ。防水性能はIP67(水深1メートルで最大30分間の耐水性能)からIP68(水深6メートルで最大30分間の耐水性能)にアップグレードしている。
価格は3万円アップの9万9800円から
気になる価格については、ディスプレイ、プロセッサ、カメラなど全体的なスペックが底上げされたこともあってか、6万円台からだったiPhone SE(第3世代)よりも3万円ほど高くなり、9万9800円からになった。廉価というにはやや高い感もあるが、iPhone 16シリーズの中では最も安い。また、ストレージの64GBがなくなり、128GBスタートとなっている。
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