iPhoneの使い方が劇的に変わる? 日本語対応した「Apple Intelligence」を試す:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
Appleが独自に開発した生成AIサービスの「Apple Intelligence」が、4月から日本語に対応する。iPhone 16シリーズは「Apple Intelligenceのために設計されたiPhone」とうたっているだけに、ついにその本領を発揮するときが来た。開発者向けβ版の「iOS 18.4」でその実力を試した。
Appleが独自に開発した生成AIサービスの「Apple Intelligence」が、4月から日本語に対応する。iPhone 16シリーズは「Apple Intelligenceのために設計されたiPhone」とうたっているだけに、ついにその本領を発揮するときが来た。正式サービスの開始に先立ち、Appleは開発者向けβ版の「iOS 18.4」の配信を開始した。対象となるiPhoneにこれをインストールすれば、一足先に日本語版のApple Intelligenceを利用できるようになる。
英語では先行提供されてきたApple Intelligenceだが、日本語ではどのようなことが実現するのか。正式バージョンに先立って配信されている開発者向けβ版を使い、その実力を確かめてみた。
なお、開発者向けβ版は一般公開されているものではないため、スクリーンショットの公開が禁止されているが、本稿では、許可を得た上でこれらを使用している。また、β版のため、機能の詳細が変わる可能性がある点にもご留意いただきたい。
キーボードなしでも長文を簡単に作成できる「作文ツール」
これまでも言語設定を切り替えれば利用できたApple Intelligenceだが、日本語を扱う機能では、直接的な恩恵を受けることができなかった。「作文ツール」は、その代表格だ。これは、文字通り生成AIを使って文章を作成したり、文章を書き直したりする機能を指す。長い文章を要約するといった使い方も可能だ。
使い方は簡単。例えばメールを開き、新規作成画面で一通り文面を書いた後、それを選択すると、メニューに「作文ツール」が表示される。ここで「プロフェッショナル」や「フレンドリー」をタップすると、文体をより専門的にしたり、カジュアルにしたりといった変更を加えることができる。下書き的にざっと文章を書くだけで、よりきちんとした文章に仕上げられるというわけだ。
また、ChatGPTとの連携で、ゼロから文章を書きあげることも可能だ。メールの新規作成画面でApple Intelligenceのアイコンをタップし、メニューの一番下にある「作文」を選択すると、ChatGPTが起動する。ここでは、「3月5日に開催される新しいスマホの発表会の案内文を書いて。時間は16時から、場所は渋谷」と指定してみた。
すると、以下の画面のような文章が自動的に生成された。細かい書き直しは必要だが、ゼロからiPhoneでこの文章を作り上げるのはなかなか骨が折れる。作文ツールを使えば、短くどのようなことを書きたいか指定するだけだ。隙間時間にメールを書き上げてしまいたいというときに、重宝する機能といえる。ChatGPTからは、このメールに追加した方がいい項目も提案される。
作文は、メールへの返信にも利用できる。届いたメールに対して即レスポンスしつつ、文章はきちんと書きたいというときに活用できそうだ。筆者の場合、メールに返信フォームが記載されている発表会の案内などを受け取ることが多々ある。この場合も、「フォームを埋める形で返信を書いて」と頼むとそのようにしてくれるので、コピペの手間が省ける。
ただし、項目内の一部はダミー的に埋められるだけなので、書き直しも必要になる。ユーザーの情報を学習できれば、より効率的に返信ができるようになるだろう。作文ツールを実際に使ってみると、物理的なキーボードがなく、長文を打つのがおっくうになってしまうiPhoneとは、特に相性がいい機能だと感じた。コミュニケーションを促進する機能という点でも、スマホ向きだ。
作文ツールは、文字を扱うさまざまなアプリから呼び出すことが可能。筆者の場合、記者会見やインタビューなどのメモを取るのにiPadの「メモ」アプリを利用しているが、その中身をザクっとまとめることもできた。あとからメモを活用する際に、要点だけをサッとつかめる。単に文章を作れるだけでなく、アプリにしっかり組み込まれているため、実用的といえる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
生成AI「Apple Intelligence」、4月初旬から日本語に対応
Appleの生成AIサービス「Apple Intelligence」が、4月初旬から日本語に対応する。Apple Intelligenceでは、文章の要約や校正、指示した要素を含む画像の生成、カスタム絵文字のジェン文字の作成ができる。発表されたばかりの「iPhone 16e」もApple Intelligenceを利用できる。
日本のiPhoneで「Apple Intelligence」を有効化してできること<後編>
本記事では、前編で紹介した「クリーンアップ」「作文ツール」「カスタマイズしたメモリームービーの制作」に引き続き、言語設定を変更した際に、現時点で使える主な機能を3つチェックしていこう。
日本のiPhoneで「Apple Intelligence」を有効化してできること<前編>
2024年10月28日にリリースされたiOS 18.1からは、iPhoneの通話を録音データとして保存できる機能「通話録音」が使えるようになった。本記事では、同機能の使い方について、あらためて手順をおさらいしていこう。
「iPhone 16e」実機レビュー カメラや処理性能、独自モデム「Apple C1」による通信品質はどうか
iPhone 16eは、iPhone SE(第3世代)の後継モデルと呼べる存在だが、iPhone 16のファミリーとして登場。これまでiPhone SEシリーズの特徴だったホームボタンを廃している一方で、処理能力の高さは受け継がれている。実際の使い勝手を確かめるべく、発売に先立って試用できた実機をレビューしていきたい。
“魔改造”でSEの魂を受け継いだ「iPhone 16e」 不安要素は「価格」「ライバル」「対応バンド」にあり
「iPhone 16e」は、プロセッサを最新モデルに合わせて処理能力を維持しながら、過去に販売されたモデルを部分的に組み合わせて価格を落としている。一方、機能性が高まったこともあり、ドル建てでの価格はやや上がっている。iPhone 16との価格差が少ないことや、対応バンドが少ないことも不安要素に挙がる。







