iPhoneの使い方が劇的に変わる? 日本語対応した「Apple Intelligence」を試す:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
Appleが独自に開発した生成AIサービスの「Apple Intelligence」が、4月から日本語に対応する。iPhone 16シリーズは「Apple Intelligenceのために設計されたiPhone」とうたっているだけに、ついにその本領を発揮するときが来た。開発者向けβ版の「iOS 18.4」でその実力を試した。
より賢くなったSiri、ボイスメモは日本語の文字起こしに対応
Siriがより賢くなるのも、Apple Intelligenceの恩恵の1つだ。例えば、「明日のバルセロナの天気は?」と聞いたあと、結果が画面上部に表示されている状態で、再びSiriに「明後日は?」と聞くと、文脈を踏まえて翌々日のバルセロナの天気を表示してくれる。株価などでも、同様のことができる。
複雑な質問をしたときには、それを判断してGoogle検索の結果を表示したり、ChatGPTを呼び出したりするかどうかを聞かれる。また、「○○をChatGPTに聞きたい」といった形で指定することで、意図的にChatGPTでの回答を呼び出すことも可能だ。Apple Intelligenceによって万能になったわけではないものの、より自分の限界をわきまえる“知性”を身に着けたことがうかがえる。
Apple Intelligenceには含まれていないが、iOS 18.4を適用すると「ボイスメモ」で日本語の文字起こしも可能になる。ボイスメモを立ち上げ、録音ボタンを押したあと画面左下に表示される吹き出しマークをタップすると、文字起こしが始まる。文字起こしはリアルタイムで表示されるため、相手が何を話したかを確認するのにうってつけだ。
Pixelを筆頭に、Androidスマホでも文字起こしに対応した端末は増えているが、録音したそばからすぐにテキスト化してくれるものはまだまだ少ない。Galaxy AIや、XiaomiのAIも、録音した音声を後からまとめてテキスト化する仕様のため、話されたことをその場で確認するのには向かない。数字などの確認のために、録音しながら文字起こしされたテキストをチラ見し、メモと突合することがあるが、このような使い方をしようとすると、現状ではPixel一択になってしまう。
iOSのボイスメモがリアルタイムの文字起こしに対応したことで、iPhoneという新たな選択肢が生まれた格好だ。ただし、Pixelの方が、まだ精度には一日の長がある。話者の分離なども行ってくれない。また、iOSの場合、言語の切り替えがボイスメモアプリからできず、端末そのものの言語設定を変更する必要があり、操作が少々面倒。こうした点は、ぜひ今後のアップデートで改善してほしい。
まだまだ完璧ではないが、Apple Intelligenceが加わったことで、iPhoneの使い方がガラッと変わる可能性もある。特に、これまではユーザーがゼロからやっていた文章作成などを、ある程度iPhoneに肩代わりしてもらえるのは大きいと感じた。ボイスメモの文字起こし対応も、筆者のように会話を録音し、それをあとで活用することが多い人にはうれしいアップデートといえる。正式版のiOS 18.4が配信されることを楽しみに待ちたい。
(製品協力:アップルジャパン)
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