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充電やデータ転送に使う「USBケーブル」選びで大切な3つのポイント 通信速度や電力量はどうやって確かめる?(2/2 ページ)

スマートフォン、タブレットやPCの充電やデータ転送などに使うUSBケーブル。安いものもあれば高いものもあります。適切なものを買うにはどうしたらいいのか、知っておくべき知識をチェックしましょう。

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ポイント3:通電可能な電力量

 特に機器への給電(充電)に使う場合は、USBケーブルの供給可能な最大電力にも注目しなければなりません。

 USB規格における“標準的な”最大電力は以下の通りです。

  • USB 2.0まで:2.5W(5V/500mA)
  • USB 3.2 Gen 1以降:4.5W(5V/900mA)
  • USB Type-C(通信規格は問わず):15W(5V/3A)

 要するに、少なくともUSBケーブルは規格に応じて上記の電力を供給できるようにしなければいけません

 「あれ、何かよく聞く電力量よりも少ない」と思った人、勘の良い人です。USB規格ではより多くの電流を流すためのオプション規格として「USB BC(Battery Charge)」「USB PD(Power Delivery)」というものがあります。前者は名前の通りバッテリー充電に特化したオプションである一方、後者は機器の充電だけでなく駆動電力の供給に使うことも想定しています。それぞれの供給可能な最大電力は以下の通りです。

  • USB BC 1.2:7.5W(5V/1.5A)
  • USB PD 3.1:100W(20V/5A)または240W(48V/5A)

 USB PDでは、電源(給電機器)と利用デバイス(受電機器)“交信”することで供給する電力量を決定します。電源が供給できる電力と利用デバイスが受けられる電力が一致する場合はベストパフォーマンスを発揮しますが、そうでない場合は互いが対応している中で最大の電力量での供給となります。

 この規格ではUSBケーブルに通常よりも膨大な電力を流す可能性があります。そこで60W超の電力を流しうるUSBケーブルには「eマーカー」と呼ばれるICチップを搭載する必要があります。60W超の出力に対応するUSB PD電源は、ケーブルにeマーカーがあり、かつ利用デバイス側でも60W超の入力が可能だと分かった場合にのみ60W超の出力を行います。

 さらに、100W超の電力を供給する場合は、電源/利用デバイス/ケーブルの“全て”がUSB PDのオプション規格「EPR(Extended Power Range)」に対応する必要があります。EPR対応のUSBケーブルはeマーカーに「60W超だけじゃなくて100W超もイケるぜ」という付帯情報を持っています。eマーカーが付いていても、EPR対応の情報を持ち合わせていない場合は最大100Wの電力供給となります。

 一般的に、スマホやタブレットで急速充電をする場合は18〜45W、ノートPCを稼働する場合は30〜100W、ゲーミングノートPCを稼働する場合は100W超の電力が必要です。

 USBケーブルの給電能力は、基本的にパッケージに書かれています。購入時によく確認してください。USB-IF(USB Implement Forum)から認証を受けているケーブルについては、プラグの部分に給電能力に関する表記がなされています。

ダイソーUSB
ダイソーで110円で販売されていた「高速充電・通信ケーブル USB→マイクロUSB」は、12W(5V/2.4A)の給電に対応しています。USB BC 1.2の規格を超えているのは、他の急速充電規格を考慮に入れたものと思われます
デバイス側
最新規格のUSB最大通信速度ロゴのうち、画像のように乾電池風のロゴがあるものはUSB PDによる電源入力に対応していることを意味しています(ケーブルの場合は最大電力を印字する)
ケーブル側
最新のUSB PD対応ケーブルのうち、60W/240W対応の認証製品にはプラグ部に最大電力量を示すアイコンを付与することができます。最大通信速度がUSB 2.0相当の場合は給電能力のみ記載し(左)、USB 3.1 Gen 1以上相当の場合は最大通信速度と給電能力を併記します(右)

高価なUSBケーブルにはどんな傾向がある?

 USBケーブルは、基本的に「より高速な規格」「より高電流」に対応しているほど高価になります。

 USB 2.0までの規格とUSB 3.2 Gen 1以降の規格では、信号線の数に差があります。結線すべき線の数が多くなるほど手間がかかります。また、より高電流を通す場合は線の品質を上げなければいけませんし、USB PDで60W超の電流を通す場合はeマーカーを実装する必要があります。高価になるのは当然といえば当然です。

 さらに、先述した各種ロゴマークを使うには、USB規格を管理する「USB-IF(USB Implement Forum)」から認証を取得する必要があります。認証を取るにも一定のコストは必要ですから、その分値段にも反映されます。

 ただ、USB-IFから認証を取得したケーブルは一定の品質が担保されているということになるので「安物買いの銭失い」となるリスクは極小化できます。

エレコム
エレコムの「U2C-CCPE20NBK」はUSB-IFから認証を取得した長さ2mのUSB PD 240W対応USB Type-Cケーブルです。スピードロゴがないことからも分かる通り、通信はUSB 2.0までとなるものの、高電力対応のため実売価格は4000円前後。USB4 Gen 3x2対応品は最長でも1m(USB4-CCPE10NBK)となり、実売価格も5000円前後となります

 USBケーブルは「安ければダメ」「高ければいい」というものではないのですが、つなげる機器にピッタリなものを選ぶというのが大前提です。その上で、予算に合わせてより品質の担保されたものを買うのが良いとでしょう。

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