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「Apple Intelligence」の日本語解禁で“スマホのAI競争”が激化 Android陣営とは何が違うのか石野純也のMobile Eye(3/4 ページ)

Apple Intelligenceが日本語に対応したことで、スマートフォンのAI競争が激化しつつある。AIエージェント化ではAndroidが一歩リードしているが、雌雄を決するほどの差にはなっていない。AIスマホがユーザーの買い替えを促進していることを示唆するデータも出ている。

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Android勢もAI対応を推進、Apple Intelligence的なOS組み込み型も

 一方で、既存のアプリやサービスに生成AIを組み込み、使い勝手を高めるのはAppleの専売特許ではない。Googleも、AndroidにオンデバイスAIモデルのGemini Nanoを用意している他、Gmailやカレンダーなどの純正アプリを続々とGeminiに対応させている。Gmailであれば、Geminiを呼び出し、文章を考えてもらったらそのままそれをコピー&ペーストできるといった具合で、アプリ内に生成AIが統合されている。

Apple Intelligence
Androidも、GmailアプリがGemini対応しており、返信などの文章作成を依頼できる

 また、Googleが用意したAIモデルや自社/他社のAIモデルを組み合わせて、自らのサービスに仕立て上げるメーカーも徐々に増えている。代表的なのが、AndroidをベースにしたOne UIに「Galaxy AI」を組み込んだ、サムスン電子だ。同社は2024年4月に発売されたGalaxy S24シリーズからGalaxy AIの搭載を始め、ハイエンドモデルを中心に、過去の端末にもアップデートをかけている。

 2月に発売されたGalaxy S25シリーズでは、Galaxy AIのUIもブラッシュアップしており、Apple Intelligenceの作文ツールに近い「AIライティングツール」などが提供されている。文脈を理解する検索機能や、「Samsung Notes」で下書きからイラストを生成する機能なども用意。多言語対応もAppleより早く、2024年の登場時からいきなり日本語が利用できていた。

Apple Intelligence
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Galaxy S25シリーズでは、Galaxy AIもアップデート。Apple Intelligence風のAIライティングツールや、画像生成機能が進化した。OSと密結合する考え方は、Apple Intelligenceに近い

 サムスン電子は、言語対応の早さがAI対応の武器になると考えている節がある。日本では、Galaxy AIの投入に合わせて、家電やディスプレイ、半導体など、主にハードウェアの研究・開発を行ってきたサムスン日本研究所に、AI開発部隊を発足。AIの日本語対応の開発を中国・北京から機能を移管し、クオリティーの底上げを行っている。同研究所でMobile Solution Lab Artificial Intelligence Part長を務める赤迫貴行氏も、「多言語対応は強みになっている」と語る。

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サムスンでは、日本語対応のAIをサムスン日本研究所で開発している。日本語に強い人材を抱えており、クオリティーを向上させやすいのが強みだという

 さらに、Galaxy S25シリーズではGeminiがカレンダー登録やメッセージ送信といったタスクをこなせるようになった。対応しているアプリは限定されるが、Galaxyシリーズに内蔵されるSamsung Notesや、サムスン自身がカスタマイズを施したカレンダーアプリもこれに対応する。エージェント的に振る舞うAIは、本連載でも取り上げたように、スペイン・バルセロナで開催されたMWC Barcelona 2025でも多数のメーカーが取り組んでおり、今後のトレンドになることは確実だ。

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Geminiに依頼することで、検索結果を保存したり、メッセージで送信したりということが可能になった

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