ついに姿を消したiPhoneの「Lightning端子」 Dockコネクターから始まった“iPhoneの端子”を振り返る(2/2 ページ)
2月28日に発売されたAppleの新型スマートフォン「iPhone 16e」によって、Apple製品からLightning(ライトニング)端子が完全に姿を消した。これは1つの時代の終わりを意味していると考える。今回は、iPhoneに採用されてきた端子の変遷を振り返ってみたい。
待望のUSB-Type C採用 汎用規格であることが最大のメリット
最後に現行のiPhoneでは、欧州の法規制を背景に、汎用(はんよう)規格のUSB Type-Cに移行した。Lightning端子と同様にどちらの向きでも挿せる端子だが、データ転送速度や給電性能はType-Cが圧倒的に上。最大の違いは、独自規格から汎用規格への移行である点だ。
DockコネクターからLightning端子へ移行したときを思い返すと、ケーブルをはじめとしたアクセサリーの少なさに悩んだことを思い出す。独自規格から独自規格へのアップグレードということもあり、アクセサリーが拡充するまで時間がかかったように感じる。
一方でUSB Type-Cは既にAndroidスマートフォンやWindows PCなどで広く採用されており、対応するケーブルやアクセサリーも豊富に存在する。こちらも登場から10年が経過することもあって、スマートフォンに限らず家電製品やおもちゃ、加熱式たばこなどでも一般的になりつつある。
Apple製品でもノートPCのMacBook、タブレット端末のiPadは先にUSB Type-C化が進んでいた。Apple製品向けのアクセサリーも充実しており、タイミング的にもiPhoneは非常にスムーズな移行となった。
筆者もiPhone 15シリーズに乗り換えた際、以前のようにiPhone専用ケーブルを用意する必要がなくなり、Android端末やノートPCと端子を共有できることが非常に便利に感じられた。出張や旅先などで充電器を1つ減らせる点は大いに助かっている。
USB Type-Cは汎用規格であるため、ケーブルや充電器の入手性も圧倒的に高い。家電量販店やディスカウントストア、コンビニエンスストアや100円ショップでも容易に手に入り、価格も手頃だ。以前のLightning端子用の安価なケーブルは制限も多かったが、USB Type-Cのケーブルは安価なものでも急速充電や映像出力に対応する多機能な製品がそろっている。
充電ケーブルはもちろん、映像出力アダプター、イヤフォンジャック変換などの関連アクセサリーも安価に入手できる。上位モデルは高速通信可能なことを生かして外部ストレージの接続もできる。総合的に見れば、USB-Type CはiPhone史上最も部環境が整った端子規格と評価したい。
iPhoneにおけるLightning端子の終息は、iPhoneが長年守ってきた独自規格からの決別を意味する。きっかけは欧州地域の規制こそあれど、30ピンDockからLightning端子、そして現行のUSB Type-Cへと変化した。他の端末を見ても、独自端子を貫いたソニーのウォークマンも2019年モデル以降はUSB Type-Cを採用しており、2021年にはハイエンドも含めて完全移行した。さまざまな利点のあった独自端子類も、利便性に優れるものに変化している。
iPhoneの発売以降15年にわたって長らく続いた「iPhoneの独自端子問題」は、iPhone 16eの発売に伴うiPhone SEの販売終了をもって、一段落したといえる。
著者プロフィール
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
iPhone 15/15 Proで選ぶべきUSB Type-Cケーブル 付属品で十分?
iPhone 15シリーズが採用したUSB Type-Cには、さまざまな規格があります。iPhone 15と15 Proの違い、規格によって異なる転送速度を確認しておきましょう。結局、どのケーブルを選べばいいのでしょうか。
スマホの充電端子、なぜ「USB Type-C」に統一? iPhoneはどうなる?
欧州議会と欧州理事会は6月7日(現地時間)、あらゆる電子機器に充電用ポートとしてUSB Type-Cの搭載を義務付けるという無線機器法の改正案について暫定合意に達したと発表しました。早ければ2024年秋以降にEU圏内で発売されるスマートフォンやタブレットはUSB Type-Cの搭載が必須となります。Appleは反発していますが、既にUSB Type-Cを搭載したiPhoneをテストしているといううわさもあります。
「USB Type-C」なのか「USB-C」なのか iPhone 15の採用で気になる呼び方
iPhone 15シリーズが採用したことで話題を集めている「USB Type-C」だが、Appleは「USB-C」と呼んでいる。USB Type-CとUSB-Cの規格名は、どちらを使うべきなのだろうか。USB-CはAppleしか使っていないようだが、明確な違いがあるのだろうか。
iPhone 15を最速充電する方法は? USB Type-C+MagSafe充電を徹底テスト
これからの新生活に向けて、「iPhone 15」シリーズに買い替える人も多いだろう。iPhone 15シリーズ最大の従来シリーズとの違いは端子がUSB Type-Cに変わったことだ。今回はiPhone 15シリーズを充電したり、PCと接続するのに便利なケーブルや充電器を紹介する。
iPhone 15シリーズ付属のUSB Type-Cケーブルはどれだけ使える? 転送/充電速度を検証
iPhone 15シリーズでようやく「Lightning」端子から「USB Type-C(USB-C)」端子に置き換わった。記者はLightning端子を備えるiPhone 14 Pro MaxとUSB Type-C端子を備えるiPhone 15 Pro Maxを用意。iPhone 14 Pro MaxとiPhone 15 Pro Maxのデータ転送速度と充電速度を比較した。






