エックスモバイルがあえて“細かく”料金プランを改定した理由 30GBがahamoより高くても問題なし:MVNOに聞く(2/2 ページ)
数々のコラボSIMを展開しているエックスモバイルが、自ブランドの料金プランを久々に改定した。1GBから100GBまで、計8つのデータ容量から選択できる仕組みを導入した。容量別の料金体系は、ある意味“先祖返り”しているようにも見えるが、これには理由があった。
ピザにSIMを付けたい ペットショップやアニメと連携する構想も
―― 攻めるというと、HORIE MOBILE以上に攻めた感じのサービスでしょうか。
木野氏 例えばビットコインをつけるとか。あとはグループ会社も増えてきたので、そことコラボしたSIMも出したいと思っています。
―― ナポリの窯でしょうか。
木野氏 ナポリの窯はお世話になっていた創業者が急死された際に指名されたのが一番の理由ですが、ピザだと少なくとも1日に数千枚はお届けしていますよね。1年にすると100万を超えます。そこにSIMをつけたいと思いません? 少なくとも、パッケージにQRコードをつけて、料金診断したらピザが半額になるというようなことはできると思っています。100万人に何らかの形でタッチしていて、しかもリアルというのは大きいですよね。
あとは、まだリリースしていませんが、実はペットショップも買収しました。ペットを買うときって、めちゃくちゃ説明を受けるじゃないですか。ほとんどの人はローンで買うそうです。そこでエックスモバイルに切り替えてもらえば、通信費が込みになるということもありえます。iPhoneを出しているので、うちは審査もできますし、リアルな拠点がいいと思って意思決定しました。今後もいろいろなM&Aをしていきますが、そういう文脈で考えていきます。
―― 関係ないように見えて、モバイルにつながっていくんですね。
木野氏 つながっていきます。今度、アニメのIPを取得する予定ですが、キッズプランなら、このサブスクを半額にするというようなことをやれば、子どもに見せようとなるかもしれません。携帯電話を軸に、お客さまがペットを飼い、動画を見て、家賃を払って電気、ガス、水道を使う。そういうことを、丸っとやっていきたいんです。
100万回線を超えるまでは、大手キャリアにできないことを全部やる
―― 今、iPhoneのお話が出ましたが、iPhone 16eをセットにしたグリーン Plus ❤️ Aiの反響はどうでしたか。
木野氏 100万回線を超えると大手キャリアと同じ規制がかかるので、それを超えるまでは、大手キャリアにできないことを全部やろうと思っています。端末の過剰値引きとか(笑)。分かりやすいのはiPhoneで、やはり結構売れています。
ドンキの店頭に立っておじいちゃん、おばあちゃんと触れ合った(接客した)から分かるのですが、みんなめちゃくちゃ古いスマホを使っています。それこそiPhone 6とかで、しかも結構高い料金プランのままになっています。この方々は、スマホが新しくなるとすごく喜んでくれます。石野さんや田中(聡・ITmedia Mobile編集長)さんはいいスマホを使っているので、iPhone 16eと言ってもスルーするかもしれませんが(笑)。
それを分かりやすく届けるにはセットプランが一番です。うちには一定の体力があり、審査もできます。iPhone 16 Proだとあまりにも高額なので難しいですが、iPhone 16eはちょうどよかったのでトライしてみました。今後は、そこにキラーコンテンツもつけていきたいですね。あとは法人の契約もあります。iPhone 16eはApple Intelligenceも搭載しているので、AIができるという雰囲気があって法人の方も買うんです。
―― 雰囲気(笑)。
木野氏 まとめて何十台と買ってくれますし、法人の方はすぐにやめないのがありがたいですね。セット販売はやはりいいので、担当部署が今、次のものを考えています。
―― 木野さんは昔からXiaomiが好きでしたよね。
木野氏 ただ、今一番欲しいのはキッズケータイ(子ども用の携帯電話)です。それがないから、仕方なく大手キャリアを使っているお客さまもいますが、これがあれば、家族丸ごといけます。端末メーカーの方は、ぜひこの記事を読んだらお問い合わせください。私のXにコメントをいただければ、「やりましょう」とすぐ返しますから(笑)。
あとは、先ほどのペットショップで売れる、ペットにつけられる商品ですね。今だと適当な見守りカメラがあるぐらいですが、首輪につけるものと、カメラで月額いくらというような売り方をしていきたいですね。
―― 100万回線だと規制がかかりますが、今はどのぐらいでしょうか。
木野氏 数十万回線というところです。次から次へとコラボモバイルを出していける量産体制が整ったので、何かの起爆剤が欲しいですね。
取材を終えて:料金プランとオプションの細分化には理由があった
グリーンプラン導入の背景には、代理店を多く抱えるエックスモバイルならではの事情があった。料金プランとオプションの細かな組み合わせができた方が、個々人の合わせることができる。自分で選ぶのは大変だが、そのサポートができる店舗があれば、むしろそれが売りになる。
また、データ容量を細かく選べれば、現在、注力しているコラボモバイルとの差別化にもなる。コラボを進める中、よりユーザー層に合わせる形で、それぞれの料金プランを最適化したといえる。iPhone 16eのセット販売を始めたのも、ユーザー層を意識したからこそ。コラボを始めたことで、ユーザー理解の解像度が以前より高くなっている印象を受けた。
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