au Starlink Directの使い勝手が大幅に向上――やはり衛星通信サービスは「数」が重要なのか:石川温のスマホ業界新聞
KDDIが、Starlinkを使ってLTEスマホをつなぐ「au Starlink Direct」の体験会を開催した。サービス開始後、対応する衛星の台数を一気に増やしたことでより快適な通信が実現するようになったが、そこで気になったのが楽天モバイルと共同で同種のサービスを提供しようとしているASTだ。
2025年7月17日、au Starlink Direct体験会があるということで茨城県高萩にある「大和の森」高萩スカウトフィールドに行ってきた。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2025年7月19日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
au Starlink Directは、サービス開始時に東京都あきる野市養沢と栃木県にある蓬莱山で体験済み。「同じ事をやってもなぁ」と思っていたが、高萩では全く異なる体感となった。
この7月にStarlinkは、つながる衛星が増えている。サービス開始時は軌道傾斜角が53度の衛星だけをつかんでいたが、総務省の認可がおり、43度の衛星も追加されたという。これにより、つながる衛星の数が2倍、約600基との通信が可能となった。
実際、4月のサービス開始時に試した際には、衛星につながる時間が短く、つながってもなかなかSMSが飛ばないといった状態であった。正直「これじゃ、なかなか厳しいな」というのが感想であった。
しかし、7月17日の体験会では、ほぼずっとアンテナピクトに「衛星」の文字が出ている。SMSがすんなりと飛んでいく。2台のiPhoneを並べ、どちらも衛星につなぎ、SMSを交互に飛ばしあうなんてこともできた。4月にはSMSを飛ばすこともままならず、SMSを交互に飛ばし合うなんて不可能だったことを考えれば、歴然の進化と言える。
従来は2分程度かかっていたSMSの送信が30秒内で完了する。やはり、スターリンクにおいては「数」がものを言う世界のようだ。上空をつぎつぎと衛星が飛んでくれば、圏外にならず、SMSもすぐに送れる。
ここで気になるのが、楽天モバイルが組んでいるASTだ。
ASTはとにかく飛ばす数が少ない。アンテナが巨大ということで、1つの衛星で広い範囲をカバーすることに強みがあるとしている。
自分の位置を衛星がカバーするとしても、角度がきつくなる可能性がある。山間部では周りに木が生い茂っており、ちゃんと電波をつかまないことも考えられる。
アメリカのように「まわりに遮蔽物のない、砂漠を走る道で使う」というのであれば、問題ないが、日本のような土地となると、どこまで実用的になるのか、サービス提供を待ってみないことにはわからない。
また、au Starlink Directはすべてのスマホで使えるわけではなく、メーカーごとに対応機種が決まっている。一方でASTはすべてのスマホで使えると断言しており「本当に大丈夫なのか」という気がしている。
楽天モバイルというか三木谷浩史会長としてはASTからプラチナバンドをふかせ、全国をカバーするつもりのようだ。その際、衛星につながっているという表記は出ず、あくまで通常の基地局と通信をしている振る舞いになるという。
果たして、一般的なスマホ側が「1.7GHzやSub6につながっていないときは衛星のプラチナバンドにつなぎにいく」という挙動を正しくやってくれるのか。
このあたりもASTの見所と言えそうだ。
© DWANGO Co., Ltd.
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