「iPhone 17/Air」が“eSIMのみ”に変更された理由 ソフトウェアでeSIM利用を促進、キャリア側の対応も進む:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
「iPhone 17」シリーズや「iPhone Air」で、最も驚きだったことの1つが「eSIMオンリー」という仕様だ。eSIM専用化で設計の自由度を高め、薄型化やバッテリー増量に貢献するメリットもある。iOS 26ではeSIMをより便利に移行する工夫も盛り込まれている。
ソフトウェアでもeSIM利用を促進する工夫を盛り込む、iOS 26で高まる利便性
また、iPhone 17シリーズやiPhone Airに内蔵されるiOS 26では、eSIMの機能を大きく強化している。1つが、海外旅行用プランの利便性を上げるということだ。iOS 26では、eSIMを追加するメニューから海外旅行に出かけた際の選択肢がユーザーに表示される。海外ローミングの手段に旅行用のeSIMがあるということを明確化。Appleのサポートサイトに遷移するボタンも用意した。
さらに、海外旅行用のeSIMをアプリからあらかじめ購入した場合、旅行時にそれをオンにするかどうかを尋ねられる機能を搭載。現地に到着した際に、ユーザー自身がeSIMの切り替え作業をする必要なく接続ができるようになる他、帰国時に元のキャリアの回線に通信を戻す便利な機能も搭載されている。対象になる海外eSIM事業者は明かされていないが、eSIMの利便性がより高まることは間違いない。
2つ目が、eSIMクイック転送の拡大だ。Appleは、2022年に正式配信を開始した「iOS 16」から、eSIMのプロファイルを他の機種に“転送”する「eSIMクイック転送」を開始した。転送といっても、裏側ではキャリアのシステムでeSIMを再発行し、それを転送先の端末にインストールしているだけで、プロファイルそのものをコピーしているわけではないが、あたかも写真や動画などのデータを転送しているかのような手順で機種変更が可能になった。
一方で、iPhoneのeSIMクイック転送はiPhone同士にプラットフォームが限定されており、Androidとは互換性がなかった。対するGoogleも、GSMA標準にのっとる形で「eSIM転送」を導入していたものの、iOSとはつながっていなかった。iOS 26とAndroid 16では、この相互乗り入れが実現。iOS 26のeSIM追加画面には「Androidから転送」という項目が用意された。8月に発売されたGoogleの「Pixel 10」シリーズには、「iPhoneから転送」というメニューが組み込まれている。
物理的なカードを抜き差しするだけで回線を移せるSIMカードとは違い、eSIMの場合、どうしてもキャリアに対して再発行を求める必要があり、手続きが煩雑になりがちだ。AppleやGoogleは、より簡易的な機能やユーザーインタフェースや機能の開発をすることで、そのハードルを徐々に下げてきた。その次のステップとして、プラットフォームをまたがった転送を可能にしたというわけだ。
こうしたOSの新機能からも、AppleがiPhone AirのようなeSIMオンリーの端末を着々と準備してきたことが分かる。米国でのSIMスロット全面排除から丸3年がたち、ついにそのグローバル展開を開始した格好だ。
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