楽天モバイルとNothingの共同イベント初開催 端末購入から契約まで“まるっと”サポート
楽天モバイルは、英国に拠点を置く気鋭のガジェットブランドNothing Technology(以下、Nothing)と共同で、一般消費者を対象とした体験型イベント「Nothing × 楽天モバイル Special Experience Session」を10月11日と12日の2日間にわたり、東京・渋谷の代官山T-SITEで開催する。入場料は無料だ。
楽天モバイルは、英国に拠点を置く気鋭のガジェットブランドNothing Technology(以下、Nothing)と共同で、一般消費者を対象とした体験型イベント「Nothing × 楽天モバイル Special Experience Session」を10月11日と12日の2日間にわたり、東京・渋谷の代官山T-SITEで開催する。入場料は無料だ。
今回のイベントは、Nothingの象徴的なデザインを持つスマートフォンやオーディオ製品に直接触れられる機会を設けると共に、その場で製品購入から通信契約までを完結できるのが特徴だ。通信キャリア(MNO)として国内でNothing製品を独占的に取り扱う楽天モバイルと、日本市場でのさらなる認知度向上を目指すNothingの思惑が一致し、両社初の共同開催に至った。
イベント共同開催は今回が初 開催の狙いは?
楽天モバイルは現在、Nothingのスマートフォンを3機種取り扱っており、中には楽天モバイル限定カラーのモデルを投入するなど、戦略的なパートナーとして関係を築いてきた。楽天モバイル広報は、「Nothingさんの製品を取り扱わせていただいているのは、MNOではわれわれだけ。かなり力を入れて提供させていただいている」と、その特別な関係性を強調する。
Nothingは、その独創的なデザインとコンセプトで若年層を含む一部のガジェット好きから熱烈な支持を集めている。Nothing Japan代表の黒住吉郎氏は、「イベントを通して、できるだけ多くの人たちに届けたいと考えている。『若者』と言ったときに、感度が高い方や、自らがクリエーションをしたい、創作をしたい、というような方たちをわれわれはターゲットにしている。若者だけというよりは、そういう心を持った人たちに、できるだけわれわれのようなプロダクトが、その方たちのクリエーションをサポートできればなと考えている」と語った。
楽天モバイル広報は、「多くの皆さんに広く知っていただきたいというところと、楽天モバイルと特別な取り組みをしているということをお伝えすべく、イベントを開催させていただく運びとなった」と、楽天モバイル広報はイベントの狙いを述べた。
Nothingはこれまで、新製品の発表を自社単独で行い、その世界観を独自に発信してきた。しかし2025年3月には、楽天モバイルでの端末取り扱い開始を大々的に発表。その際、楽天モバイルのシンプルな料金プランと、Nothing製品が持つ優れたコストパフォーマンスとの親和性の高さが提携の理由として説明された経緯がある。
4月8日に開催された「Phone (3a)」の発表会で黒住氏は、Nothingが販売パートナーに楽天モバイルを迎えた理由について、「楽天モバイルが全国に店舗を構えるためだ」と話していた。店舗網を活用して実店舗での販売にも力を入れる狙いだ。
楽天モバイル コーポレートマネジメントディビジョンディレクター 大久保公博氏は、「Nothingの独創的なデザイン、そして先進性、それでいて優れたコストパフォーマンスを持っているPhone (3a)と、(原則)データ無制限かつ低廉な『Rakuten最強プラン』を組み合わせることで、新しい価値をお客さまに届けられるのではないか? というところから協議に至った」と話していた。
代官山T-SITEにNothingの主要製品が並ぶ
今回のイベントは、こうしたビジネス上の相性の良さをアピールするというよりも、あくまで主役は一般の消費者だという。楽天モバイル広報は「今回のイベントは一般消費者の方に来ていただいて、Nothingの製品を体験いただき、かつこの空間で楽しんでいただくというところがメイン。両社の相性の良さ、コストパフォーマンスの良い会社同士のタッグ、といったところが前面に出るかといわれると、少し違うかもしれない」と述べ、ビジネス戦略の訴求よりも、純粋な製品体験とブランドの世界観への没入を最優先する姿勢を示した。
会場となった代官山T-SITEには、Nothingが展開する主要製品が並んだ。2025年8月に発売されたばかりのフラグシップモデル「Phone (3)」をはじめ、コストパフォーマンスに優れるサブブランドの「CMF Phone 2 Pro」、そして手頃な価格帯でNothing体験の入り口となるPhone (3a)の3モデルが展示された。
イベント会場内に展示されたフラグシップモデルのPhone (3)、コストパフォーマンスに優れるサブブランドのCMF Phone 2 Pro、そして手頃な価格帯でNothing体験の入り口となるPhone (3a)の3モデル
来場者はこれらの実機を自由に手に取り、Nothing製品の最大の特徴である、内部の部品が透けて見えるスケルトンデザインや、背面のLEDライトが光る「Glyph Interface」といった独創的な機能を試すことが可能だ。ブランドの世界観を表現した限定のフォトブースや各種の催しもある。
特筆すべきは、このイベントが単なる展示会にとどまらない点だ。会場内には専門スタッフが常駐し、製品に関する詳細な説明を行うだけでなく、気に入った製品があればその場で購入し、同時に楽天モバイルの回線契約まで進めることができる。
体験を通じて高まった購買意欲から契約へ促す
オンラインでの手続きが主流となる昨今において、オフラインの場で実機を吟味し、専門家の助言を受けながら購入・契約までをまるっとサポートする体制は、一般消費者にとって大きな魅力となる。特に、Nothingのような新興ブランドの製品は、スペックシート上の数値だけでは魅力が伝わりにくい。体験を通じて高まった購買意欲をその場で成約へとつなげるこの取り組みは、両社にとって戦略的な内容といえる。
楽天モバイルにとっては、iPhoneや国内メーカーの端末が大きなシェアを占める市場において、Nothingという独自性の高いブランドをフックに、他社との明確な差別化を図ることが可能だ。デザインや思想に共感する新たな顧客層、特に情報感度の高い若者や、画一的なスマートフォンに飽きた層を取り込むための強力な武器となり得る。
一方のNothingにとっては、MNOである楽天モバイルとの協業が、日本市場でのブランドイメージと信頼性を向上させる絶好の機会といえる。リアルイベントを通じて、これまでリーチできなかった客層に製品を届け、安定した事業基盤を築く上で欠かせないはずだ。
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