シャープ、2025年度中に「AQUOS R10 pro(仮)」は投入しないが「目下検討中」 問われるフラグシップの在り方
シャープが11月13日に「AQUOS sense10」を発表するが、2025年度のラインアップがこれが最後だという。気になるのがproシリーズの新モデルだ。次期proモデルは「目下検討中」だという。
シャープが11月13日に、最新スマートフォン「AQUOS sense10」を発売する。10月31日の発表会はスマートフォンではsense10が主役だったが、2024年10月に先代の「AQUOS sense9」を発表したときは、同時にフラグシップモデルの「AQUOS R9 pro」も発表した。しかし2025年は、AQUOS R9 proの後継モデル「AQUOS R10 pro(仮)」の発表はなかった。
発表会で「今回、Proモデルの発表はないのか」という質問が出たところ、シャープ 通信事業本部 本部長の中江優晃氏は「2025年度モデルとしては、AQUOS sense10で完結するため、2025年度までProモデルは発売しない」とコメントした。
2024年12月に発売したAQUOS R9 proは、ライカ監修の3眼カメラシステムや、広角カメラに1型を超える1/0.98型のセンサーを採用した意欲作。側面にシャッターキーも備え、レンズフィルターも装着できるなど、スマホを本格的なカメラとして使うことを想定している。順当に行けば、2025年の冬商戦か2026年の春商戦に後継機が登場してもおかしくないが、2025年度中、つまり2026年3月までは後継機が出ないことになる。
ただしProモデルをやめるわけではなく、Proモデルの後継機について中江氏は「現時点ではプランニング中」と語る。
「Proはわれわれにとって、非常に特別なモデル。スマートフォンで驚きや革新を与えることをコンセプトに開発している。カメラが付いて、携帯電話の多くが変革していったように、今、スマートフォンが大きな変革の時期を迎えている。そこに対してふさわしいProを目下検討中」(中江氏)
AQUOS R9 proの前世代モデルである「AQUOS R8 pro」は2023年7月に発売しており、AQUOS R9 pro発売まで約1年半のブランクがあった。AQUOS R8 pro→AQUOS R9 proと同じ間隔で考えると、2026年夏にAQUOS R10 proが登場する可能性は高い。いずれにせよ、最上位のフラグシップモデルを1年に1回出す必要性は薄くなりつつあるといえる。
シャープは10月31日の発表会で、Androidのシェア1位を取る、あるいは何割のシェアを取るといった目標をあえて語らなかった。これは、競合メーカーとの競争が激しくなっていることが影響しているように思える。Androidのシェアはここしばらく、シャープとGoogleとのつばぜり合いが続いており、3位のサムスン電子も好調だ。MM総研の発表によると、2024年度通期の国内携帯電話のシェアは、Androidで1位のシャープの340.9万台に対し、2位のGoogleは316.5万台だった(関連記事)。
シェアという観点でいうと、一通りの高い機能を備えた(Proの付かない)「AQUOS R」シリーズ、エントリーモデルの「AQUOS wish」シリーズ、そして今回発表したAQUOS senseシリーズだけで十分という見方もある。もちろん、Proシリーズはシャープが培ってきた先端技術を示すのに欠かせず、より高い性能を求めるユーザーに刺さるのは間違いない。一方でAQUOS R9 proは19万円台で、気軽に手が出せる価格帯ではないのも事実だ。
中江氏は「シェアを追うというよりは、多くのお客さんに使ってもらう結果としてシェアがある。昨今、市場の状況が変化してきている」と話す。市場の変化とは、AQUOS R10やFCNTの「arrows Alpha」など、8万円台〜10万円台でハイエンドをうたうモデルが増えてきていることも無関係ではないだろう。価格帯も含め、次期proがどのような姿になるのか期待したい。
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