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据え置き型Wi-Fiルーター“実質無料”うのみは禁物 急増するトラブル原因は何か、家電量販店などで実態確認

国民生活センターは、既にネット環境があるのに新規契約を勧められたり、速度改善を期待して契約したのに逆に使いづらくなった例があると指摘した。説明なしに据え置き型ルーターを2台契約させられたり、書面の金額が勧誘時と違うといった相談も確認された。同センターは契約前の確認や費用説明の重要性を強調し、トラブル時は早めに相談窓口を利用するよう呼びかけている。

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 据え置き型Wi-Fiルーターに関する相談があり、請求などに関するトラブルが急増しているとして、全国の消費生活センターが消費者に対して注意を呼びかけている。

 据え置き型Wi-Fiルーターは、機器のプラグを家のコンセントに挿すだけで利用できる手軽さが特徴になっており、「コンセントにさすだけ」「おうちの高速Wi-Fi」「光回線の工事が不要」などという触れ込みで、NTTドコモやUQコミュニケーションズなどが通信サービスの提供や端末の販売を行っている。

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据え置き型Wi-Fiルーターは、固定回線の代替としてモバイル回線を使う仕組み。モバイル回線が使えない圏外の場所などでは設置が難しい。料金もスマートフォンやタブレットとは異なる。画像はNTTドコモの「home 5G HR02」

 その手軽さとは裏腹に、「無料と言われ契約したのに本体代金を請求された」「通信が不安定で説明と違った」といった声が相次ぎ、特に70歳以上の契約者の割合が増加していることが報告されている。こうした状況を踏まえ、消費生活センターは相談事例を整理し、注意喚起を行った。

料金や割引内容が店舗によって異なるホームルーター

 センターに寄せられた事例では、まず料金説明の不足が目立つ。例えば「実質無料」と提示されていたため契約したが、解約時に高額な本体代金を求められたケースがあるそうだ。都内の家電量販店数店舗のポスターを実際に確かめたところ、実質無料のポスターは見つけられなかったものの、料金や割引内容が店舗によって異なる他、

「途中解約によって請求が割高になってしまう」落とし穴が存在している。

ドコモのホームルーター「home 5G HR02」の場合

 まず、都内の家電量販店のドコモコーナーなどで取り扱いのあるホームルーター「home 5G HR02」に関しては、実質無料に近い一括10円と案内されていた。端末価格7万3260円に対し、7万3250円の割引を適用し、支払いは一括10円のみとなる。このケースでは分割を組む必要がなく、契約時の10円で端末代の支払いが全て完了するため、解約しても残債は発生しないという。

 さらに通信費用に相当する月額料金5280円には1525円の割引が4年間適用されるため、支払いは毎月3755円で済むそうだ。これらの施策は店舗独自であり、実施期間は11月30日までと案内された。

UQ WiMAXの「Speed Wi-Fi HOME 5G L13」の場合

 別の家電量販店では、UQ WiMAXの「Speed Wi-Fi HOME 5G L13」でも端末代2万7720円を一括1円とするキャンペーンが案内されていた。こちらも解約しても残債は発生しない仕組みだ。ただし、月額料金は契約から13カ月間のみ682円割引となり、最初の1年間は4268円、14カ月目以降は4950円に戻る。店舗によれば、月額料金に変動がある際に、メールやSMSなどでの通知は一切ないため、利用者自身でメモに控えるなどして把握しておく必要がありそうだ。

思わぬ落とし穴がある「GMOとくとくBB WiMAX」「SoftBank Air」の注意点

 GMOとくとくBB WiMAXでは、端末代2万7720円が24カ月利用で実質無料になる仕組みが採られている。毎月の端末分割額と同額の割引が24カ月続くためだが、契約期間内に解約すると割引が終了し、残債を一括で請求される。

 SoftBank Airでも、同様の落とし穴が確認されている。月額料金5368円が3カ月間無料になるほか、端末代には毎月1485円の割引が適用される。ただし途中解約すると割引が止まり、端末代の残債がそのまま請求される。また、広告にある「初月0円」は基本料金の話で、事務手数料などは別途請求される。さらに一部の家電量販店では、契約を条件に家電の値引きを行う独自施策も展開されていた。

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SoftBank Airでは途中解約をした場合に「月月割」が終了する。端末代金の支払いが完了する前に解約すると、割引がなくなり、残っている端末代金(残債)の支払いが請求されることになる(公式サイトにも小さな文字で注釈書きがあるのを確認した)。また、一部家電量販店では、事務手数料などの初期費用は無料にはならず、請求が発生するという説明があった

ポスターなどの“実質無料”をうのみにせず、契約前に理解することが必要

 国民生活センターは、自宅に既にネット環境があるにもかかわらず、新たな契約を勧められた例や、通信速度の改善を期待して契約したものの、接続が安定せずむしろ使いづらくなったという事例も紹介している。

 また、スマートフォンの操作相談に訪れたところ、説明のないまま2台分の据え置き型ルーター契約を結ばされていた例も確認されている他、契約前に必要な説明書面が渡されず、後日届いた書面の金額が勧誘時と異なっていたという相談も確認されたという。

 いずれも、本体代金や通信料金の発生を正確に理解しないまま契約してしまう状況が背景にある。特に、据え置き型Wi-Fiルーターの販売現場では、端末代が極端に低く見える施策が多い。だが、契約期間と割引の関係を理解しなければ、途中解約で思わぬ費用が発生する可能性がある。

 こうしたさまざまな問題を受け、国民生活センターは、契約前に自宅でどの程度データ量を使っているのか、既存のネット環境はどうなっているのかを家族と共有する必要性を強調し、契約時には月額料金だけでなく本体代金や解約時の追加費用について説明を受けるべきだとしている。

 契約をキャンセルしたい場合は早めの申し出が重要で、トラブルに発展した場合は消費生活センターや「消費者ホットライン188」を利用するよう呼びかけている。

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国民生活センターは、既に自宅にネット環境があるのに新規契約を勧められたり、サービス内容や料金を十分に理解せずに据え置き型ルーターを契約してしまった例が相次いでいると指摘している。端末代の見え方に惑わされると途中解約で想定外の費用が発生する可能性があるため、契約前に自宅の利用状況を確認し、料金や解約費用の説明を必ず受ける必要があるとしている

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